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日本初の連接車として知られる車です。形状は穏やかながら流線型。
1934年に3編成が製造。用途は京阪本線から京津線……大阪淀屋橋〜京都三条〜大津間の直通運転。今でこそ京阪本線は三条で出町柳方向に北上しますが、大昔(昭和30年代まで)は大津方面への路面電車に線路が繋がっていたのです。
直通運転は1960年頃廃止されたものの、車輌は京津線にて1970年まで活躍しました。
1編成は車庫内ながら、登場時の姿で静態保存されています。
この電車の特徴は「連接車」「流線型」。そして、鉄道線でも軌道線でも運用できるということ。そのためにドアは高ホーム用と路面軌道用の二重装備でした。集電装置も鉄道線用のパンタグラフと軌道線用のダブルポールの二重装備。ついでにいえば京阪線内の高速運転も、京津線内の勾配区間も難なくこなせる足回りも。小さいながらも(一編成2両で20m強。普通の電車1両分)、密度の濃い電車だったのです。
●レゴ化にあたって
製作動機は、先に低床連接車の万葉線MLRV1000を作ったことで、連接車の制作に弾みというか自身がついたこと。どうせやるなら近代的なMLRV1000に対して古風なのをやってみたかったですし、路面も鉄道線も走れたほうが使い勝手も良い! 必然的にプロトタイプは決まってしまいました(いや、江ノ電とか広電とかもう少し迷えよ自分w)。合わせて京都訪問予定があったことで一応は地元ネタ一つは持って行きたかったということに、流線型としてAWAZO氏のモハ52に対する対抗意識もありました(笑)。
カラーリングは登場時及び保存車のクリーム濃淡+茶帯と、引退時の京阪特急色(濃赤と濃黄)で迷いましたが、手許に黄色があんまりなかった(笑)という理由で前者に。完成してみると思っていた以上にシックな装いになりびっくり。この塗装決めた方はいいセンスされてますよね!
とはいえ後者への未練も。こっちは本格的に京阪特急作るまでおあずけです(作りたい形式はあるんですよ)。

全長は21ポッチ×2+連結間2ポッチの44ポッチとなりました。実車の小ささを意識して、また路面電車として町並みへの調和を意識して極力短く詰めています。

動力は9Vトレインモーターを連接台車に使っています。肝心の連接部はMLRV1000同様に円筒を回転させる造りですが、円筒は動力台車に固定しています。両車体はその上に覆いかぶさっているだけという構造。両車体と台車はターンテーブルやテクニックで繋がっているわけではありませんが、これでも安定して走行します。
一方、車体同士は円筒の上で短リンクで連結。また、円筒そのものは貫通路があり、前後で通過ができるつくり。こういうところをダミーにしないのはコダワリということで。
流線型前面はさほど傾斜角があるわけでもないのでゆるめ穏やかめ、そして適度な泥臭さが出るように意識しました。斜め固定などの裏技も未使用です。クリップ付きタイルは偉大?
あの屋根の垂れ下がった前面形状は1930年代の私鉄気動車(や、それを改造した電車)では多々見られるので今後の応用性もありましょうか?
正面窓下の丸二つはポールを巻き上げるリール。
連結器は他車両との連結はないので(京阪本線内でも)、ダミーとしてしまいました。その下には救助網つけて古い路面電車らしく。
意外と苦戦したのは側窓。最初は二段窓を一段窓に割り切り、旧タイプのリップ付き窓(この作品のドアに使ってます)ですべて表現すること考え、一度その形で作ったのです。が、幕板が深く、予想以上に重苦しい姿になったので中止。一方他用途で検討していたクリップ付きタイルとクリアブロックの組み合わせでの2段窓で試作してみたら意外とサマになる。この電車の全長と窓配置ならなんとかなると。3連窓部の真ん中が空きっぱなしなのはこの手法の欠点ですけど。でも窓の大きく軽快な感じに、戦前の電車ならではの窓枠感は出せたかと。

ドアは全て開閉可能。中央のステップ付近は強度確保にやや苦労。ドア脇のプレート(裏面)は実物の「びわこ」の砲金製プレートのつもりです。

貫通路が抜けてるのがポイント。室内は史実通りロングシート。クロスシートもちょっぴり考えましたが定員が減りすぎるので実物同様?に断念。

AWAZO氏の鉄橋ジオラマ上にて。やはり様になる!
●まとめ
つくってみたのはいいのですが、やはりマイナー題材ですね(苦笑)。でも、同じ世界観に共存できる車両作りも今後の課題でしょうか。京阪本線、京津線(ヘンな電車たくさん。今も!)、平面交差してた京都市電(これは難題)、接続してた江若鉄道の気動車(「びわこ」と同じ流線型顔(笑))etc。
どなたかさんの京の街ジオラマに路面軌道をセットしてという夢もいつかは叶うのでしょうか?

運転会にてクモハ52との並び。同じ時代の関西の流線型同士!
いや実物が並ぶ機会はついぞなかったのですが。
これは何時ぞやの列車ではないですか!?(ちょっと違うような・・・気のせい?)
窓の互い違いビルドが印象に残っています。
>また、円筒そのものは貫通路があり、前後で通過ができるつくり。
>こういうところをダミーにしないのはコダワリということで。
たしかにこだわってますよね(^^。
そこがいい味出していると思いますよ。
京都に持って行きましたよ(笑)。一応ご当地ネタということで。
窓の互い違いは……已む無くだと思ってくださいませ。
いや他にいい組み方あれば(笑)。
貫通路がふさがってるのはなんか抵抗感あったので。4幅車のドア
(実際にフィグが乗り降りできるわけじゃないので無意味の極み、でも省略はできない……)と同じレベルのコダワリですけれども(笑)。
参考になります。この組み方!
それと連結器下の救助網、すごく雰囲気が出ていいですね。
実車を見た世代ではないのですが、
やっぱり関西在住での刷り込みというか、
反応してしまいます。
それにしてもよくぞこんなネタをw
私には絶対に出来ない造形、かつ、的確なプロポーション。
関山さんの作品はセザンヌと共通するものがあるような気がします。
…ボリューム感の捉え方とか、造形以前の印象とか。
どことなくソ連の鉄道を思いだしました。
手近かつカラバリ豊富なパーツで電車窓っぽい表現と言うことで応用価値は高い……と思っています。広がってくれればいいなぁと。
救助網はただのフェンスなんですが、やはり平凡な部品で効果をあげると、なんか勝利感を得たような(笑)。
そういう意味で、レゴって面白いですよねやっぱり。
◆G@ひたひた様
「びわこっ!」大阪か京都で、その音を聞きたかったですよ(笑)。でも貴方からコメントいただけて嬉しいです。
ネタ的にはウチの中でもそんなに変じゃないよな……というのは何かが麻痺してるのでしょうね(苦笑)。
で、セザンヌとはまた大仰な(笑)。でもレゴ作品の評価評論とかするときに「印象派」とか「写実主義」ってタームは使えそうですよね。この辺、意味もわからずに使うと恥かきそうですけど(笑)。
とりあえず「造形以前の印象」という言葉は心に残ります。
やはり、レゴは意外と深い?
◆shipwreck様
ドアの開閉はアームを使ったプラグドアという割とよく使われる手法です。じゃなくて、この電車のことでしょうか? 高さの違うドアが並んでいるのは高いほうが鉄道線用、低いほうが路面区間用という使い分けをしていたためです。鉄道⇔路面電車の直通を行う車輌というのはそんなに珍しくないのですが、ドアを二種類用意したのは他例がないのですね。
ソ連的……うーむ。本文にも記したとおり、意図的にスマートさよりも泥臭さ出るようにしましたので、その表現も間違ってないかもですね(笑)。
そういえば、ウチの仕掛り(放置中)題材でのソ連の電気機関車がありますので、これを機に再開しましょうかね……。
しかもこの記事だけ見れていなく今頃気づいたという・・
忠実に再現されていて驚きました。
素晴らしいですね
ご地元ですか。ひょっとして枚方展示時代にご覧になられたとか? 羨ましいです。
忠実な再現と云っていただけ嬉しいです。あの電車を特徴付けている部分はほぼすべて盛り込んだつもりですので。