というわけで、2回に分けての紹介です。今回は12V関連以外の音声(笛)コントロールと4.5V製品を扱います。
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1969年のトレイン関連製品は25点。
http://www.bricklink.com/catalogList.asp?itemYear=1969&catString=124&catType=S
この年の大きな変化は4.5Vモーターが4年目にして大改良されたこと。
1966年の4.5Vモーターは高さが4ブロック分あり、ユーザーによる分解は考慮されていませんでした。
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?P=bb07

1969年製品より、高さが3ブロック1プレート分と若干薄型化され、ユーザーによる分解・モータ交換を考慮したタイプとなりました。
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?P=bb06

モータ交換対応となったのは、この年から始まった12Vシステムに対応するため。パックモーターの中身のモーターのみを交換することで、4.5V→12Vへのアップデートに対応させるというコンセプトです。勿論交換用の12Vモーター単体、4.5Vモーター単体も市販されました。
なお、12Vモーターというと9Vトレインモーター同様のパワートラック形がイメージされがちですが、あれは灰レール時代の1980年からで、それまでは4.5Vモーター同様のパックモーターを使っていたのです。
もうひとつの変化が、車輪がスポーク付きになったこと。
1966年からのタイプ。4つのポッチが目立ちます。
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?P=wheel1

写真は付随車用。動力車用にゴムが巻けるのもありました。
1969年からのタイプ。スポーツ付きのリアルな形状に!
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?P=wheel2b

写真は付随車用(分かりやすいアイコンがユニーク!)。こちらにも動力車用にゴムが巻けるのもありました。
●#101 4.5V Battery Case
http://www.bricklink.com/catalogItemPic.asp?S=101-1

電池BOXの改良品(単品)。1966年の旧タイプ電池BOXではコネクタが正負分離していましたが、本品からコネクタが正負くっついた形状に変わりました。
なお、電池BOX入の製品も1969年より原則として新タイプの電池BOXに変更されています。
●#118 Motorized Freight or Passenger Train (Sears Exclusive)http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=118-3

4.5V電動のトレインセット
前年の#119に似ているのですが、貨物列車に組み替えるための部品とサブインストが含まれていたようです。その代わり、踏切・信号機が含まれていません。#119はアタッチメント同梱で「停止」や「方向転換」に対応していましたが、#118は写真見る限り未対応です。連結器も磁石式ではなくフック式。モーターと電池BOXの仕様は不明。やや見劣りする内容と云わざるをえません(客車のデッキのゲートもない)。
Sears(米通販大手)の限定品だったと思われます。
ちなみに#118は前年の「笛でコントロール機関車」初代と、手押しの簡易なトレインセット(#111再販?)が被っており、相当に紛らわしいです。社内で混乱は無かったのでしょうか? 一時期(1978-79頃)欧州向けとアメリカ向けで品番変えていたことがありましたが、この辺の製品も同一型番は出荷先違いだったのかもしれません。
●#120 Complete Freight Train Set with Tipper Trucks
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=120-1

4.5V電動のトレインセット。
曲線レール円周分と蒸気機関車と炭水車、チッパー貨車(ホッパ車)2両のセット。
電池BOXとモーターは最初から1969年形で、車輪もスポーク車輪です。但し「停止」「方向転換」には非対応です(前者は#156[信号機]、後者は#157[方向転換機]の購入でアップデート可)。
内容的には、少しでも低価格に電動トレインセットをという狙いを感じます。
とはいえ、機関車にはゴールドのプリントブロック「120」が入りました。

ここはリッチな感じですね。
●#122 Loco and Tender
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=122-1

電動の蒸気機関車と炭水車。
電池BOXとモーターは最初から1969年形で、車輪もスポーク車輪です。但し「停止」「方向転換」には非対応です(前者は#156[信号機]、後者は#157[方向転換機]の購入でアップデート可)。
機関車の造形は#120とは全く似ておらず、寧ろ#118/#138の笛コントロール機に似ています。1967年の#116(電動セット)/#117(手押し単品)にも似ています。
このセットもゴールドプリント「122」入。

ユニークなことに、「モーター+電池BOX」のセットのように汎用モーターとして遊んでもらうことを鑑みてか、ゴムタイヤやゴムキャタピラ部品も同梱されていました。
●#123 Passenger Coach
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=123-1

客車単品。
単品客貨車の製品はこれが初めて。#116(1967 電動セット)の客車の単品商品化にも見えます。
サイドの表記はプリント部品。
●#124 Goods Wagon
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=124-1

有蓋貨車単品。
#116(1967 電動セット)の郵便車の色替え、単品商品化にも見えます。
サイドの表記はプリント部品。
●#125 Tipping Wagon
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=125-1

チッパー車(ホッパ車)単品。
上で記した#122の貨車の単品商品化。パーツ数少なく価格も控えめだったと推測されます。
実物の貨車(本線用)では欧米日ともに少数派の横倒しで荷役を行うチッパー車(日本で云えば土運車[リ])は、レゴ的には便利な車種のようで以後も単品にセットに大活躍するのでした……。
ちなみに色が白いのは何故? まさか石灰石で汚れたところを再現したわけじゃあるまい?
●#127 Train Set
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=127-1

4.5V電動のトレインセット。
蒸気機関車と炭水車、無蓋車と郵便車、客車。レールは曲線1周分+直線8本(4対分)。
#116(1967年)の再販。
bricklinkのパーツリストでは車輪はスポークなしの旧型、連結器はフック式。但し箱写真ではそれぞれ新型になっていますから、前者の誤記でしょうか?
もちろん「停止」「方向転換」には非対応(#156・#157でアップデート可)。
なお、#116も1969年頃までは出荷されていたようで、#116でも車輪・連結器・モーター・電池が新型のものがあるようです。#127との関連は不明。
余談ですが、1969年出荷の#116にはゴールドプリント「116」が入っていたようです。

http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?P=3008pb08
●#138 Electronic Train
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=138-1

笛でコントロール(前進・停止・後進)できる蒸気機関車+炭水車。機関車のみでレールなし。
前年の#118との差異を上げておきます。
・笛を長く吹くことで、後進にも対応。そのため制御ユニットが新部品に。
・笛も新部品に。旧製品との互換性は不明。
・車輪がスポーク車輪に。
・モーター・電池BOXが最初から1969年仕様に(#118は新旧混在)。
他は#118と同様です。
短期間での仕様変更の理由は不明。通常の4.5Vが方向転換対応になったのに合わせたのでしょうか? 或いは#118の方が暫定的な仕様だったのかもしれません。
先進的だった、音声コントロールは1968−69年の製品のみで潰えてしまいました。ただ、列車をリモートコントロールするという意味では1969年から12Vが始まっていますし、4.5Vにしても1968年から地上操作(信号機・方向転換バー)による停止・方向転換に対応しだしています。その中で存在意義がなくなってしまったのかもしれません。
ただ、音声コントロールの各製品の数自体はそこそこ出ているようでトリッキーなシステムの割には今でもbricklinkでの出物が見つかります(流石に完動品は高価ですが)。
●#139 Electronic Control Unit (Forward/Backward - Stop)
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=139-1

#138の電子系ユニットのみの分売品。前進・停止・後進対応。
#116などに組み合わせての「アップデート」を行うための製品でしょうか。
上の箱絵は凄く機能や扱い方をわかりやすく図説していますね。
●#139A Electronic Control Unit (Forward - Stop)http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=139A-1
#118の電子系ユニットのみの分売品。前進・停止のみ対応。
#139と#139Aの関係は不明。先に#139Aが出ていて、あとから改良品の#139になったと考えると分かりやすいのですが……。
●#157 Automatic Direction Changer
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=157-2


方向転換アタッチメント。
#116(1967〜)以降の4.5Vトレインの炭水車(=電池BOX)下部に取り付けることで、地上からの進行方向転換(折り返し)操作が可能になるというもの。サイドのバースイッチ操作で電池BOXからの出力の極性を逆転させるというものでした。
1979年頃、帰省先の駅ビル内玩具屋(関西圏)で見たことがあります。子供心に「何に使うんだろ?」という謎に満ちた製品でしたが、まさかアタッチメントとは。
1972年のバッテリーカー#161の登場でレーゾンデートルが無くなったこの製品は不良在庫になってしまっていたのでした。勿論、今見つかれば貴重品ですが。
●#158 Railroad Crossing Gate
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=158-1

踏切。
後の製品と違い、警手小屋や信号所などの付属しない純粋な踏切。バーなどは一体部品。

初期製品ではベースプレート部が12V非対応でした。

1969年のうちに、ベースプレートが部が12V対応に改められています。
踏切は1976年に警手小屋・警手フィグの付いた#146
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=146-1
に移行していますので、それまでは出荷が続いたのでしょうか?