そして12Vが加わって、音声コントロール製品もあって、レールが青から灰になって、12Vが物凄いシステム展開して。
で、そのシステム資産を全て破棄して9Vに移行して、RCになってPowerFunctionになって……という「概要」はよく知られることです。
でも、各年毎にどんな製品がリリースされ、そして詳細な仕様が変更されてきたかということまでは案外知られていないように思います。
「連結器が磁石になったのは?」
「車輪がスポーク付になったのは?」
「車輪が車軸から取り外し出来ないタイプになったのは……?」
「欧州調のバッファーが付くようになったのは?」
この辺のマニアックな疑問、調べる見る価値はあるとおもうのです。
幸いにも、レゴほど過去製品の「データベース」が充実している玩具はありません。「データベース」に頼る形ですが、年度別のトレイン製品史をみて行きましょう。
=======================================
記念すべき、1966年のトレイン関連製品は11点。
http://www.bricklink.com/catalogList.asp?itemYear=1966&catString=124&catType=S
基本になる4.5Vモーターと電池BOX、レールシステム。手押しと電動のセットがリリースされました。
車体幅(4幅の製品もあり)や電動の方式(電源は列車に積むか、地上に置いて有線供給か?)に関しては試行錯誤が感じられるラインナップ。
車輪は赤でスポークなしで4つのポッチが付くタイプ。直径2ポッチ、フランジ込み3ポッチが標準というのも現在に至る規格。
連結器はフック式。
http://www.bricklink.com/catalogItemPic.asp?P=3176c01
機関車は単品・セット品合わせて4種とも蒸機をモチーフにしたものでしたが、成型色が青いのが共通しています。この時代のレゴ社的には「金属色=青」という解釈がなされていたのかも知れません。
レールは直線と曲線が供給されましたが、長さやカーブの曲率は今なお不変の規格として続いています。
●#100 4.5V Motor with Wheels
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=100-1
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=100-2

ラージボックスとスモールボックスがあり、内容が微妙に異なります! 電池BOXは別売り。
4.5Vモーターは最初期の背の高い(4ブロック分)タイプです。成型色は青。このモーターは後の背が低いタイプ(3ブロック+1プレート)と異なり、ユーザによる分解とモーターの交換は考慮されていない模様。
●#101 4.5V Battery Case
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=101-3

後の時代の4.5Vモーターセットと異なり、モーターと電池BOXは別パッケージでの供給でした。
電池BOXは単二3本仕様でこれは4.5V末期まで共通。極性切替対応。
後の時代と異なるのはリード線コネクタの形状。セパレートになった金属ピンを差し込む実にプリミティブな方式です。電池BOX側は正負(+-)の端子が離れていますので、後のコネクタタイプ(1969〜87)とは互換性がありません! モーター側は端子が正負くっついているのでコネクタタイプとも互換性あり?
なお、電池BOX裏面にも電極があります。これは4.5Vモーターとリード線無しに電池と直結するためのもの。1976年の改良品で廃止されるまで続きました。
●#111 Starter Train Set without Motor
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=111-2

曲線レール1周分と、直線4本(2対分)。機関車1両と貨車2両。
しかし機関車は恐ろしく素朴な形状のものです。6幅のプレートの上に乗るのは2幅のボイラーと4幅のキャブ。対象年齢と価格の兼ね合いでしょうか? 後の手押し列車セットと異なり「動力化」への考慮はありません。
貨車は2両とも無蓋車。1両は緩急車になっているのが芸が細かい。
●#112 Locomotive with Motor
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=112-2

モーター付きの機関車単品。電池BOX込みですからレールがあれば(無くても?)単体で動力走行が出来ました。
後の4.5V機関車との違いは電池BOXを機関車の上に載せてしまったスタイル。リード線を省略出来ることがメリットです(牽引力でも有利なのですが、この時代にそこまで考えられてたとはとても思えず)。
スタイルは個性的ですが、サイドタンクの大きなタンク式蒸機と解釈出来るかも知れません。制約を考えればなかなか良いデザインです。
●#113 Motorized Train Set
http://www.bricklink.com/catalogItemPic.asp?S=113-2

モーター付きのセット。
機関車の形状は#112に共通します。それに郵便車1両、客車1両。レールは曲線1周分+直線8本(4対分)
郵便車と客車は早くもボギー車です! #111の動力なしセットよりは「精細」な出来であり、より高い年齢層を意識したことが伺えます。
なお、郵便車の表記と客車の行き先表示に関して「欧州大陸仕様」と「イギリス仕様」が分かれていたようです。全てプリントパーツですから、郵便局の看板に駅名表示などに今も利用価値はありそうですよ? 状態良いものを入手するのはむつかしそうですが。
●#114 Small Train Set
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=114-2

機関車と貨車2両、レールなしのセット。
機関車も貨車も4幅です。すなわち「おもちゃ」的に機関車の外側に車輪がはみ出した形状で、これはレゴトレイン製品史では唯一の存在でしょうか。やはり動力化の考慮はありません。
今の目で見ると素朴で可愛らしいです。#111と違ったアプローチが面白いです。
●#115 Starter Train Set with Motor
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=115-2

モーター付きのセット。
機関車の形状は#114を強引に動力化したような流れ。それに#111のような貨車が3両。レールは曲線1周分+直線4本(2対分)
さて、同じ電動列車セットでも#113とは大きな違いがあります。#113は電池を機関車に積んだ常識的な方式ですが、#115では電池BOXを長めのリード線でつなぎ、有線ながら遠隔操作できることを特徴としていました。もちろん列車が何周もしているうちにリード線は絡んでえらいことになりそうですが……この明確な欠点故にか有線コントロールのトレインは以後は皆無です。
●#150 Straight Track
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=150-1

直線レール16本(8対)分。枕木の2×8プレート9枚入り。
レールが青いのは、機関車同様に「鉄は青」と解釈したためでしょうか。まぁプラレールも青ですが。
1975年まで型番変えずに供給されたため、箱は2種類あるようです。
余談ですが赤や黒の4.5Vレールと言うのも存在するそうです(試作品?)。
●#151 Curved Track
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=151-1

曲線レール16本(8対)分。枕木の2×8プレート9枚入り。1周分には二箱必要。そういえばカーブの規格も1966年以来不変ですね。
1975年まで型番変えずに供給されたため、箱は2種類あるようです。
●#152 Two Train Wagons
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=152-1

二軸車2両分の足回りだけのセット。上まわりは手持ち部品で自由に造ってくださいね、と。
●#153 Large Train Wagon
http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=153-1

ボギー車1両分の足回りだけのセット。全長24ポッチ。
<上記、画像はすべてbricklinkより引用>
12Vの写真がカタログの一部に写ってましたが、国内では取り扱いがなかったので、そこで一度止まってしまい、レゴ全部処分してしまいましたから…
トレインももうちょっと頑張って欲しかったですし、そうすれば今ももう少し変わったかも?
この企画どこからやるか(少し)悩みましたが、思い切って最初から扱うことにしました(年ごとに小改良の行われた黎明期4.5Vの世界に書きながらくらくらしてます……)。ですから「馴染みのある」製品は……だいぶ先になってしまいそう。
1996~2000頃のダメ列車(黄)にダメ列車(青)なんかは早く書きたいんですけどねぇ。
まぁ、ごゆるりとお待ちください。
1980年代の日本で12Vはムリだったと思います……かなりの高額品になってしまったでしょうから。ただ4.5V/手押しのセットが蒸機に偏ってて電車などが出てこなかったのは「企画する大人の勘違い」だったと思う由……子供は大人が思ってるほど「汽車」は好きではなく、身近な電車・電機の方が好き、と思っているのですが。まぁこの辺は長くなりそうなのでおり見て「考察」カテゴリ別エントリにでもします。