日本の20余年前の鉄道風景が未だに健在という素晴らしさ。手動ドアの客車に、開けっ放しの最後尾。日本の旧客に間に合わなかった世代としては憧れつつ叶えられなかった世界がここにあるという感じ。
それに南国の魅力が加わればもう何を況や! これで食い物も旨いんですから!
と、いうわけで台湾ネタは当然、複数が進行中。第一弾としてディーゼル機関車を作ってみました。
写真はこちら。
http://www.brickshelf.com/cgi-bin/gallery.cgi?f=262605
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●プロトタイプについて
台湾のディーゼル機関車は殆どがアメリカンスタイルの電気式(入換用に少数ながら日本製の凸型機もあり)。レゴで云うなら#10133の如き貨物用機関車を1067mm軌間向けにスケールダウンした機が入換から急行列車牽引にまで幅広く使われています。アメリカンな機関車ですが(メーカーは全てEMD=GM)、大人しい塗装や控えめのアクセサリ、何より小柄なためかマッチョ感はなく、日本人にも馴染みやすいスタイルです。
で、訪台前に滞在中はどれもこれも同じ形じゃないか、とか思っていたものの、帰ってきて写真整理したり、またいろいろ調べたりしているとそこそこバリエーションがあることが判ります。
その中で、特に気になったのが現役最古参で1960年製のR20形。流石に今は「二線級」のようで筥光號(急行)を牽く事はないようですが、台湾南部では普快(普通)や復興號(快速?)に充当されています。
この機関車、前後ともボンネットが高い形状で#10133とは差別化でき、かつ造りやすそうな印象? そして目を惹いたのが、とっても分厚く頑丈そうな台枠部分。この台枠部分と客車の窓下部分がほぼ揃うという腰高なバランスも印象的ですが、台枠の分厚さのおかげで安定感がある。しかして、鈍重な感じでもない。
少しの迷いもありましたが、造り易さ?からこの機に決めました。
写真はこの辺のエントリにあります。
http://blog.so-net.ne.jp/taiwan_rail/2007-05-30
上から4枚目、普快を牽いている姿です。
●製作
台枠にトレインプレート2枚重ね!
前面の上半分だけ、横組み!
それ以外、特別なことは何一つせず#10133をバラした部品からくみ上げていきます。
オレンジだとパーツの種類なども限られるため、とりあえず開閉ギミックや内部再現なども全てオミットした手抜き仕様。外部ディテールも最小限……。ただ、フロントのゼブラ塗りは拘った部分ですが。
ナンバーは33號。「3」の文字ブロックが手許に多めにあったからですが、実物にもあるナンバーというのは悪くないです。
で、とりあえずの完成が以下。

しかし、どうにも違和感が否めません。車体が上下につぶされたような感じになり、実物のウマヅラ感がまったく出ていません。
●ver2.0
思い切ってボンネット部分を前後とも3幅にしてしまいました。やや線が細い印象になりますが、マッチョ感のないアメリカンロコ、というテーマから考えたことでしたが……やはり失敗。東欧あたりの怪しげな入換え機みたいな雰囲気です。あるいは中華人民共和国のほうの東方紅3辺りか(笑)。
ちなみに側面の中華民国国旗は「ご愛嬌」。ディテールのつけようのない側面ですから何かアクセント……と思ってのお遊びです。意外と見栄えがしませんでした。

●ver3.0
やっぱりボンネットは4幅に戻しました。いくらなんでも違和感ありすぎでしたから。前面の塗り分けパターンをやや強引ながら再現したことで、当初の上下につぶされたような感じは和らいだかと。
で、ここまで造ると情が移ってきて、ディテールも追加。ホーンもつけ、手すりも増やしています。ディーゼル機関車にはやっぱり「白い手すり」が似合いますよね!
で、これに合わせて内部も簡単に作っています。オレンジの2×3ドアも入手のあてがついたので、エンジンと発電機だけでもそれらしく表現してみました。エンジンはそこらに転がってたテクニック系の変形コネクタですが、それらしい形になったと自負。まぁ配置とか形状とかは資料もないので「適当」ですが。

(なお、現在は機関室のドアも無事付きました)
●まとめ
台湾新幹線こと「高鐵」もそうですが、台湾の車両はオレンジ色が多用されています。訪問前は「少し派手だよなぁ」とか思っていたのですが、南国の太陽の下で見ると落ち着いて見えるので不思議なもの。
で、レゴのオレンジ色はちょっと色相が明るい方に寄っていて、鉄道関係には使いにくいと思っていました。が、こうして機関車1輌造ってみると意外と気にならないものですねぇ。
お次は客車です……。7/1をお楽しみに!
この機関車、いいですね!
オレンジにホワイトのラインが素敵です。
スタイルも良いなぁ。
サトウキビを運んでいたドイツ製小型機関車を作ろうとしてた事があったのですが、台湾の機関車達って、オレンジ色が多いですよね〜。ボンネット3幅というのもなかなか密度感があって好きですけど、実物に似てるのは4幅かなぁ。それにしても、オレンジ色の機関車というのは鮮やかで、想像してたよりも綺麗ですね。
台湾記事の方を拝見しました。記事から受けた印象は、1985年頃に始めて訪れた北海道とイメージが重なります。旧型客車も残りつつ、優等列車は最新の物が走っている…、軌道に関しても、石勝線のように、真新しい所もあり…と。何よりも黒い貨車達が元気に走り回ってるのが良いですね。
まだ台湾には行った事は無いのですが、私が鉄道に夢中だった80年代の風景を見ているような、懐かしい錯覚を起こします。旧型(?)客車列車の車内写真を見ていると、あのブレーキから出る鉄粉の味(笑)や臭いが蘇って来ます。
正面のVラインの表現が工夫されてますね。いつもながら大胆かつ繊細なパーツ選択・見立てに感心させられます。
ところで、今日は残念ながら運転会参加できません。大物作品が沢山集まっているかと思うと至極残念ですが、皆さんに宜しく。
sekiyama様
やっと台湾の車両が出てきましたね。
「ちょっと濃い目の台湾鉄道旅行記」を見て、いつ出るのだろうかと思っていました。
自分は去年台湾に行ったのですが、見ていたところが違うのでこんな面もあったのかと思っていました。
作品は四角い塊イメージの機関車がsekiyama様らしくかわいい感じで表現されているのがいいなと思いました。
今後の台湾シリーズを楽しみにしています。
◆nobiinu様
オレンジ色はここまでさまになると思いませんでした。前は「オレンジはいらない子」でしたのに。機関車自体はアメリカンスタイルですが、本場のより一回り小さいのが素敵です。
◆G@ひたひた様
>台湾の機関車達って、オレンジ色が多い
高鐵もそうですから、おそらくは「国民色」なのでしょうか?
少なくとも台湾の風土の下ではとても映えることは事実で、他の色が考えられない……(台鐵のDLは昔は紺でしたけど、今のオレンジの方がやっぱりいい!)。
ボンネット3幅は改造したときには「これはいける!」と思ったんですが、一晩置いて後悔。4幅に戻した次第です。
>1985年頃に始めて訪れた北海道とイメージが重なります
正にその通り……でしょうね。
自然環境は正反対であるはずなのに、どこか共通性を感じるのは不思議。南廻線は正に石勝線そのものですし。余談ですが、台湾では北海道旅行が人気だそうで(笑)。
とにもかくにも、普快や旧型筥光にツリカケ自強が残っているうちに訪問されることお薦めします。その価値はあるところですよ。
◆なも様
運転会は残念でした……。かなりの盛り上がりでしたので。次回は期待しております。
正面のVライン、気がついてくださって嬉しいです。「大胆且つ繊細」いい響きですねぇ。でもそれは貴方の作品にも云えることですよ(笑)。やはり新作も期待してしまったり。
◆TN-Factory様
やっと出すことが出来ました。期待してくださったのに遅れてすいません。このあと客車と気動車も続く予定ですよ。
>自分は去年台湾に行ったのですが、見ていたところが違う
逆にどんなところを観られたのかが気になります。宜しければレス下さいませ。
>四角い塊イメージの機関車がsekiyama様らしくかわいい感じ
丸みは実物より強調したり、窓は大きめに且つ下よりにつけたりと、実は拙作のディフォルメ表現において「かわいさ」は意識していたり。ですから、この言葉はとてもありがたいものです。
sekiyama様
>どんなところを観られたのか
鉄道関係の事を期待しているのではないかと思うのですが、日数が短い事もあって残念ながら鉄道は利用しなかったのです。
「ちょっと濃い目の台湾鉄道旅行記」のほうに出ていないようなので台北の「トイザらス」のLEGOコーナーのこと(昨年6月の時点)でも書いておきます。
価格はレートを考えると日本並で、現地の庶民的食堂の相場(100元以下)を考えるとどれだけ売れるのかなと感じました。
現地の親子連れは他のコーナーよりこのコーナーのほうが少し多くいる感じでした。
商品は日本より早く販売されていました。
商品構成は日本とそれほど変わりなく、SYSTEM系は同じ、technicが通常品扱い。bionicleシリーズで日本には入荷しない大箱が売られていました。
古いものはほとんど無く、スパイダーマンのsetが1箱程度残っている程度でした。
安いものはセール品のコンテナで1200pcsが日本円で\4000以下だったと思います。
台北ではLEGOの購入はしませんでした。
LEGOについては日本国内より少し早く入手したいとか、日本に入荷しないものの購入には使えますがそれ以外はあまり期待できない印象です。
歩いてすぐの「欣欣魚翅坊」(フカヒレ、アワビ、ロブスター料理)は庶民的食堂価格ではありませんが美味しかったです。大抵の日本人の口に合う味だと思います。最終日前日の夜だったので一寸だけ贅沢。
入荷状況によりロブスターに変わって伊勢エビが出てきました。
炒飯とビーフンの両方が出ておかわり自由でした。自分が食べた台湾の炒飯はどこも美味しかった。ビーフンは日本では食べないのですが台湾のは美味しかった。
2人でシェアできるコースと少しの酒で一人当たり\5000以下程度だったと思います。量も少なくないのでビーフンのおかわりはできなかったです。
(この付近は割りと飲食店が多く、行動があやしい(カメラや時計をチラチラ見る)呼び込みもいたから行動に注意は必要)
自分用のお土産もほとんど購入しなかったので帰国便(中華航空)で飛行機のLEGO(\3000程度)を購入しました。
これらの内容は昨年6月のことなので現在は変わっているかも知れません。
◆TN-Factory様
長文コメント有難うございます。
台北だけの滞在だったのでしょうか。駆け足ではや回りするのもどうかと思いますので、それはそれでありでしょうね。
>台北の「トイザらス」のLEGOコーナーのこと
私はザらスにはいけなかったので、貴重な報告ですよ。価格はやはり日本と同程度みたいですね。高価にもかかわらず人気があるようなのは幸いです。いずれ台湾にもレゴ専門のショップとかできれば楽しいなと思ってもみたり。
(日本のクリブリより充実してたら、それはそれで悔しいですけど)
食事に関しては贅沢されてますね。ちょっと羨ましい(現地で一人あたりその金額と言うことは、日本では幾らなんでしょうね?)。炒飯に米粉が美味しいのは同感です。
中華航空、機内販売品にレゴがあったんですね(エアラインプロモ?)。これはちょっと羨ましい。自分の利用したキャセイにはレゴは無かったです。