キハ35系は1961年から1966年にかけて413両も製造された通勤型気動車。
(キハ35 片運転台便所有。 キハ36 片運転台便所無。 キハ30 両運転台)
未だ都市近郊の通勤路線でも非電化は有りましたから、この種の車両の必然性はあったのです。
登場した関西本線 湊町側にしても、また関東では房総半島各線など。福岡近郊や新潟近郊にもそうした需要はありました。
ただ、都市近郊通勤線区が電化されていくと、設備上使いにくい車両になってゆきます。通勤型のオールロングシートというよりは、全体に安普請で快適とは程遠い車でしたから……。
割とスジの良い使い方は、割と各所で観られたキハ58との混成。局所的にまた短期的に輸送力が求められる区間ではキハ35系の詰め込みが、中長距離の快適性はやキハ58が補うという混成は巧いもの。2エンジン車のパワーも必要ですし。
そう、キハ35系は勾配線区への導入はあんまり考慮されず、1エンジン車のみなのでした。
1980−90年代に大量に引退。
今は水島臨海鉄道にキハ30が1両が現役で残るのみです。
他、フィリピンに譲渡された車もありますがどんな状態なのやら?
というわけで、実物に関しては功罪が相まみえる車両ですが。
ただ、そのスタイルはまんざらでもないのですよね。
実用に振り切った切妻車体に外吊り扉は駄目かというと、そうでもない感じです。
5udon様の作品は単行運転可能なキハ30。3ドアを2ドアに縮めてのアレンジです。無骨な前面補強は全車には及びませんでしたが1970年代以降。ツートンカラーは1980年ころまでみられたものでした。
……水島臨海鉄道の残存車が今はこの仕様ですね。
前面補強はタイルの組み合わせ。ツートンの塗り分けとうまく両立。
小さめの前面窓はパネルの側面使うことで、微妙な丸みとかを表現です。2x2の窓だとこの味が出せません。
貫通扉は凸表現にすることで、幌枠割愛しても違和感なく。
屋根肩にも注目です。カーブスロープではなく、あえて曲率の小さなカーブブロックを使う。これがキハ35系の真四角な感じを強調しちゃいないでしょうか。この作品のキモの一つですね。
もう一つのキモが、外釣り扉とそのドアレール(カバー)の表現です。
ドアレールはレールプレート。外吊り扉は0.25ポッチ?はみ出し。
絶妙な表現です。ドア裾にも注目。ステップが付いてましたから複雑な形状なのですがそこにも丸ブロックで再現と。
これらのキモ抑えることで、真四角な気動車が立体的な作品になっています。
(実物の安普請が、模型的には手間がかかるのは皮肉ですが。しかし、「あるある」ですよね(笑))
側窓は妥協されたようです。元来なら両端部の表現……サッシをブラケットの0.5プレートを行われたかったのでしょうが、中央部はPUハブ搭載のために通常のブロック重ねに。
サッシ表現も観たい気がします。キハ58あたりを相方で造り、そっちに動力をもたせるのは如何でしょうか?
ドアの原案。
製作中の車体。ディテールがつかめます。
動画です。単行で走る姿、やはり可愛い。
気動車も仲間増やすと楽しいので、その方向も期待しております。