(古いテキストファイルが何故か見つかったのです)
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試論:スチームパンクがあんまり好きじゃない理由
蒸気機関と並行してた初期の電気機器も魅力的だから。
蒸気機関と並行してた初期の内燃機関も魅力的だから。
……スチームパンクってどっちも否定しちゃう。
(俺は電気の方が好きなんだよ!)
あと……。 現実史実の蒸気機関使った機械のほうが、スチームパンク的創作よりもはるかに魅力的だから(笑)。
機械のむき出しと隠し方も、現実の蒸気機械の方がバランス良。
19世紀には優雅な装飾、1930年代には近代的な流線型で覆われるのですよ!
1950年代蒸気機関最終期のスチームタービンエレクトリックの怪しげな麗しさ。
1950年代の、チェシーアンドオハイオ鉄道の電気式蒸気タービン機関車
史実を超えてないから魅力を感じ得ないスチームパンク……。
あと、スチームパンクイラストの多くは、鉄道車両の造形が稚拙。
車両限界とか、軌道の土木的構造とか全然わかってない! そこでついつい引いてしまうのですね。
そういえば。
アニメの「名探偵ホームズ」(所謂 犬ホームズ)はバランス良かったなぁ。モリアーティ教授の作るスチームパンク的メカの一方、飛行機や自動車は内燃機関(ホームズの時代考証と違うけど。そこは宮崎駿の味つけ)。
史実では汽車と、黎明期の自動車や飛行機はある時代までは共存。だからリアルに思えるのです。
というか、1970年代前半の日本。
新幹線も高速道路もジャンボジェットもあったけど、その一方でC62の「ニセコ」やC55の「大雪」にC57の「日南」も普通の列車として走ってたという厳然たる事実。
そんなわけで、電気も蒸気も内燃機関も、或いは原子力も謎エネルギー?も共存してるほうがフィクションの舞台としては楽しそうじゃん……と思うのでした。スチームパンクは可能性を閉ざしちゃう……のですね。
最後に。スチームパンクよりも「刺激的な」現実にあった計画。
19世紀の末に安田財閥は東京〜大阪間に「高速電車」の計画を立てていたのです。最高速度は100km以上……当時としてはとんでもない高速。長距離鉄道は蒸気機関車しかなかった時代に複線全線電化。
開通したとしたら早くて1900−1910年ころか。
典雅な……「或る列車」の如き装飾を佩びたであろう木造電車が長大編成で東海道を行き交う。
飛び散るスパークに唸る釣り掛けモータ。
詰襟の乗務員と、多くの乗客は未だ着物の時代か。

「或る列車」の客車。アメリカのインタアーバンではこんなスタイルの電車は沢山居たのです。

20世紀初頭の「現実の」高速電車……! ジーメンスが試作して200km/hオーバー記録した三相交流電車。
大正ロマンの中の「新幹線」。夢があるじゃないですか。
ああ、スチームパンクではありえない世界です。