北国に相応しいラッセル車と、その相方の古典電気機関車。
青森県は弘前近郊の郊外電車、弘南鉄道は弘南線と大鰐線の2線を持ちます。
旅客輸送は東急からのお下がり電車ですが、除雪用に各線に1両づつの除雪車と電気機関車を保持している由。
大鰐線のキ105は、元国鉄キ100形157。1937年の製造です。1975年に入線。
線路の繋がってない弘南線のキ104とは各部形状が違うとか。
ラッセル車キ100形は既にbikkubo氏作品があり、それを参考にしたとのこと。
前頭部はウエッジプレートでの構成です。絶妙な角度での組み合わせ。
サイドのウイング部分は実物同様、可変可能です。
車体部分も実に精細。
前半部は7幅。そこには絶妙な角度のついた前面窓。
横組の側窓。
車体後半部は6幅で、各種表記類が嬉しい。
そして大きなエアタンク。ウイングの動力は圧搾空気ですからエアタンク重要です。
堂々たる姿!
言わずと知れた特徴的な姿ゆえ、構内の隅に置いとくだけでも味が出ますね。
バックビュウ。妻面……連結面も抜かりなしです。
この種の除雪車、国鉄では基本的に蒸機が推進し(9600形等)、それが後にDE10やDD16に置き換えられたりしました。
私鉄払下げだと、非電化私鉄では当然ディーゼル機関車が使われますが、弘南鉄道だと電機が、あと嘗ての新潟交通では電車(電動貨車)が推したりしてましたね。
その相方のED22 1。1926年のアメリカ製。ウエスチングハウスの電機品とボールドウィンの車体の組み合わせです。これは弘南線のED33 3と共通しますが、こちらのほうが一回り小型です。
この機関車の経歴は複雑で、信濃鉄道(初代 現大糸線)の1-3として製造されたものが、国鉄に買収、戦後まもなく西武鉄道払下げ、そこから近江鉄道、一畑電鉄と転々。1974年に大鰐線にやってきたもの。
この信濃鉄道1-3は強運な機関車であり、輸入された3両が全機現存。三岐のED22 2、松本電鉄のED22 3。この両者は既に引退済で静態保存ではありますが。
さて。同じウエスチングハウスの電機でも弘南線の方は貨物輸送がありましたが(1984年廃止)、大鰐線の方は貨物輸送あったんでしょうか?
基本的には冬期の除雪用です。
全長9mで自重28噸という小柄な車体。
出力は僅かに68kwx4ですから、ぶっちゃけて言えば東急から来た電車のほうが力持ちなのですが、でも除雪はこの機関車の仕事で残ってる由。除雪機械に置換えられること無く現役・健在です。尤も稼働は多くないようですけども……。
FBI様の作品は完全にオリジナル。
全長は22ポッチ。動力を考慮したらギリギリの小ささですね。当初PFかPU考えたそうですが、流石に9Vになったようです。大きめに見えるキャブはやはり小さく全長8ポチじゃ機器は収まりませんものね。
内部に機器がないおかげで、キャブの造形はベスト尽くす。側面の小窓表現が唸らされます。また、3幅分の横組で前面側面が構成されてるのも注目です。
凝ってるのは屋根で、キャブ長8に対して屋根は9ポッチ長。半ずらしで庇状の部分を表現してるのですね
ボンネットも小さなもの。この時代のアメリカ製凸型電機に多々みられた左右非対称の形状です。斜めの角度つけで微妙な角度表現です。
実に、愛くるしい姿です。
擬人化するならアメリカンなロリババアですね(何じゃそれ?)。色はレゴで言うなら濃赤が正解なのですけども、赤でも違和感はありません。台枠に手すりの白が実に粋じゃありませんか。
除雪車と電機。もう50年近くのペアを組んでの、活躍です。
キ100は9600との組み合わせも当然、似合います。
一方で電機の方は大鰐線に来る前(一畑など)は当然貨物列車を牽いていたことでしょう。
それぞれでも楽しめるという、模型的には美味しいペアなのでありました。