同国の大衆車といえば(シトロエンの)2CVのイメージありますけども、先に100万台を達成したのはルノーの方でした。
丸みの強いボディに張り出したフェンダー、リアエンジン。恰も独逸の国民車のような形状ですが関連はないそうです。当時なりの最適解であったのでしょう。
なお、大きな違いはガッチリしたボンネットの他、「4ドア」ということ。
前部ドアは後ろヒンジ。後部ドアは前ヒンジです。
ルノーでの製造は1961年に終わり、同じく「4馬力」のルノー4に移行しています。ルノー4は前部エンジン前輪駆動で直線的なフォルムに。これも大ヒットの名車でありました。
さて。ルノー4CVを日本で有名にしたのは1953年から1963年まで、日野自動車がライセンス生産した「日野ルノー」の存在でありましょう。大変に好評、そして売れた車であったそうです(4ドアなのでタクシーにも使えました!)
敗戦まもない頃の国産自動車のレベルの底上げに寄与した由。ただ、日野はルノーライセンス生産終了後は乗用車からは早期に撤退してしまいましたが。
海外生産は日本以外では英国・スペイン・オーストラリアで行われていました。

薬師山様の作品。第一校(LDD)。
人目で「あの車」とわかるデザインです。本家なのか日野製なのかは分かりませんが。思わず「日野ルノー!」って言いたくなるのですが、ご本人曰く本家製のつもりだそうです。
それはともかく、4幅に収まるように、小型車として納得出来るサイズに収まりますように程よいディフォルメ・省略の行われている最高にセンスの良い作品。表現するところと割愛するところのバランスが絶妙なのですよね。
フェンダーの張り出しはレールプレート分。前部は1/4円タイルでうまくフェンダーラインを出す。然し、後輪はレールプレートのみ。後輪も同じ処理できそうに見えますが控えているのは小型車としての禁欲でしょう。
バンパーや灯火廻りもミニマムなパーツ選択でシンプルに。これが昔の大衆車らしく。
繊細なのはボンネット。1/4タイルとウエッジ、そして5角形タイルです。綺麗な丸いラインが贅沢に造られる。抑えるべきところ、抑えてます。

こちらは実制作版! 使えるパーツの関係でホワイトボディ。これも良いものですね。なおドアは実物どおり?逆ヒンジに改められています。

リアビュウ。シンプルに美しく。奇をてらわぬすっきり感。量産品としての自動車・大衆車に必要な何か……を感じさせるというと大げさでしょうが。
エンジンフード部の45度スロープ、ここだけ横組なのはテールのラインを綺麗にしておりましょうね。
それにしてもこの角度、フロントフェンダーが美しいのです。

サイドビュウ。1/4円タイルの効能大きいですよね。あの部品がこのモデルを可能にした……? ディスクホイールも普及して久しい部品ですが、ほんとこの時代の車に最適なのです。

!!
最初この画像を見たときには「LDD(CAD)」かと思ってしまいました。供給されていない部品を避けるなんてなんて丁寧なLDD……?
……然し、これは実制作です。
カラーバリエーション。作りやすそうな黒や新灰はともかく……。青に灰緑に灰青、タン、ライム、茶色。パーツ入手の苦心が忍ばれますです。

勢揃い!
カラーに寄っては1/4円タイルが割愛されていたり(青・灰緑・灰青)、ドア開閉が省略されていたり(灰緑・灰青・タン・新茶)しますけども、基本設計の白や黒のモデルがありますので、なぜか脳内補正が効いてしまうのです。

ぞろぞろ。ぞろぞろ。

同型車の量産感がたまりませんね。
日野ルノーならぬ、関山ルノーも1台誂えてみたくなるのでした。