前者がヴッパータールのランゲン式と、上野公園の上野式。
後者がサフェージュ式で、元来はフランスの開発したものが(本国での採用はなく)、日本で大船と千葉で実用化されたもの。
レゴでの表現は無論前者のほうが楽で実用モデルが幾つかあるのですが、後者は「下部に開口部のある桁の中を走る」というシステムゆえ、なかなか難度が高いものでした。
実働モデル・ディスプレイモデルが過去にIL様・SUU様が手がけて居られますが、何れもディスプレイ或いはデモンストレーションに留まる感じです。
問題になるのは、強度及び、大掛かりになってしまうインフラ。
跨座式(ひだか式)ならば、或いは懸垂式でもランゲン式ならば未だ現実的に済むインフラも、サフェージュ式では膨大なものになってしまうのです。

そこを軽装化・軽量化で新たな挑戦。これが5udon様の試み。
まずは概念モデルです。桁は4x4の軽装なもの。インフラから軽量化。
動力装置は桁の中の、パネルの下面を走る形です。動力は軽量化面で有利なPowered UPを採用。これは「(センサーを使えば)直線での自動往復が可能」のメリットもあるのですね。

気になる動力系内部です。
変形のテクニックコネクタを使いこなして無理なく且つ強度有る構成を実現しています。機械としての美しさ! 無論、ボギー台車前提であり(此処大事! 鉄道系ではない方のモノレール作品はボギー化への配慮がなく、鉄道模型としての実用性で残念なことがありますから)、走行性能面で重要な二軸駆動です。
なお、走行の誘導はΦ2のポッチ付丸タイル使用です。非回転で擦れるだけですが実用性は大丈夫でしょう?

車体実装。
湘南モノレールの5000形です。
大いに意識されたというのは「軽量化」!
桁はどうみても過度な重量は支えられるものではありません。車体のディテールに過度に凝るよりは「軽く作ること」優先。それでも、鉄道模型としてのリアルさカッコよさは諦めない。実に良いバランスではないでしょうか。

みての通り、車体は完全に上下逆転組です。屋根にトレインプレートを使っているのですね。

現行の5000形らしい前面。
シンプルながら特徴抑えること、この規格では特に大事になるのでしょう。軽量化が肝要ですから。
ちょっとおっかない動画 pic.twitter.com/YV9rryZEb0
— 5udon (@5udon1) 2019年5月2日
試運転。車体を実装しても「荷重のかかる」上下方向への不安感がありません。
「おっかない」というのは前後方向の揺れですが、これは桁を伸ばしていけば全体として強度を確保できることでありましょう?
実用性は感じさせられるのですね。

現状、車体を3両編成にするところまでは漕ぎ着けられた模様です。
桁のスパンは結構長いのに、殆ど撓みが見えないのが凄いことですね。
片持式へのこだわりが有るようですが、実際の湘南モノレール線でも多くの区間は細い柱の両持ちですから、ここは無理をされなくても良いのかもしれません。

一応、片持式の橋脚です。
底面も部分的に支えていることに注目です。少しでも強度を確保されようとしているのも分かります。


さて。
最後の課題? は曲線対応。
ヒンジによって曲げられた桁。ここを通過することは出来なかったとのことです。現在のパネル部品は内部に補強があり、それに動力部が当たってしまうからだとか。
旧タイプの内部補強なしのパネルにすることで解決するのなら、曲線対応はかなり画期的な進化になることでしょう……。
然し、直線の往復であってもPUは自動運転が可能ですし、この軽量軽装化されたインフラの魅力は大きなものです。
湘南モノレールの(或いは千葉都市モノレールの)実現、願っております。