よくぞ此処に注目されたな!的なお題です。



秩父鉄道 ヨ10形は極めて珍しい私鉄の「ヨ」(車掌車)。
私鉄では車掌車の代わりに緩急車(ワフやトフなど)が使われるのが一般で、また区間や運用によってはそれらさえ割愛されてしまうのですが、貨物輸送の大きな秩父鉄道では車掌車も持っておりました。なお、お隣の東武にも車掌車は居ましたよね(あとは木曽森林鉄道にも)。
ただ、トフを進化させたようなおとなしい?東武のヨに比べて秩父のはかなり凄まじい形状の車でした。
1968年に9両が砿石車ヲキ1形(これも大変凄い貨車でしたが!)から改造されたもので、種車の台枠の上に片寄せる形で車掌室を載せたもの。当然にボギーの車掌車になりますが、これも日本では国鉄含め唯一のものでした。
1988年迄使用されたようです。
用途は線内貨物列車。今も残るヲキ(砿石)列車は専用のヲキフ(これも凄い貨車ですが)を組み合わせますので、それ以外の一般貨物列車に使われたのでしょう。流石に西武のワフの様に直通社車では有りませんでした(笑)。

ジョージレモン様の作品は極限的な車両を巧く再現されています。如何にも社車らしい社紋であったり、デッキ手すりの表現など細かいのですね。横組の窓まわりも細密です。

惜しいのは、台枠部分を6幅で造られてしまっていることでしょうか。
ここが4幅なら、実車のより極限的なフォルムがより強調されたことでありましょう。本当に台枠しか無いのですよ(笑)。
(ただ模型としての走行性能的には、あまりに片方に重量が寄ってるのは不安でもありますけど。実物だと台枠が重く、ウワモノはペラペラで軽いので問題にはならないのでしょうけども)。
ともあれ、秩父鉄道の動力車も期待したいのです。
L形端梁式なんて捻くれた足回りのデキ200形、阪和の美形ED38。或いはWHの輸入機デキ1。おとなしくも私鉄電機の典型形のデキ100など。1両あれば貨物列車が楽しくなるお題は揃っておりましょう。電機の色は青でも、茶でもありですね。
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もう一つ。

別府鉄道(現廃止。兵庫県。九州じゃないですよ!)のハフ7形。
1926年に神中鉄道(現 相模鉄道)向けに造られた客車で、オープンデッキの木造二軸客車には神話の世界的な古典さを感じさせられたものでした。
然し、実は昭和生まれです。
この車の引退した1984年といえば、大正生まれの電車も未だ運用に入って現役の例もありましたから(名鉄・琴電など)。
実は見た目よりも年老いて見える車両ではありました。
幸いにも里帰りが叶い、今は相鉄が保存しております。
それにしてもこんな客車が走ってた路線が今は重通勤路線。凄い変わりようです。

別府鉄道現役時代末期のこの客車の色は判断が難しいところで、青なのか濃緑なのか?
ただ、灰緑の解釈は「あり」ですね。程よく色褪せた感じに見えるではありませんか。
2軸車としてはやや長めの22ポッチ。軸間はギリギリの8ポッチです。
でも、スタイルのまとまりはよく、窓配置も省略なしに収まっています。3x3の窓割が良いんですよね!

魅惑のオープンデッキです。
妻部分が1色塗りになってるのが再現されてるのが嬉しいです。

実物はディーゼル機関車がペアでありましたが、無論小さなタンク蒸機が曳いて似合わないわけがありません。
(神中鉄道時代、どんなカマが牽いてたんでしょうね……)
アメリカンスタイルの軽快な1B1がまた様になるのです。
とはいえ、何時か別府鉄道のディーゼル機関車も検討に入れてくださればと思います。今も保存されてるDC302はなかなかユニークなスタイルの楽しい古典内燃機関車でありますから。また、同僚のハフ5は気動車改造。あとは気動車キハ2やキハ3も素敵な車ですからね(笑)。