それに至るまでの「歴史」が公表されておりましたので、紹介いたします。モデルは撮影用に「復元」されたというのも感慨深いものですね。
自分も昔作った自由形は写真無くともなんとなく、姿が思い出せるのです(手の記憶!)。この感覚、分かりますよ。

一覧画像です。
左端から。
200形は2001年作品、窓もドアも車輪もありません。でも、まとまったスタイルの電車です。
4511改は2006年。製品の#4511(2003年)のママではありません。
MLT-E420は2007年作品。一気にオリジナルティが強まってきます。
そして、リアルな車両に近づいてるじゃありませんか。
MLT-E520は2008年作品。ここから8幅スケールになっています。カーブスロープに寄る前面は2008年地点では滑らかで、現代にも通用する造形でしょう。
MLT-E550は2009年作品。丸みの使い方が更に洗練。
近作のMLT-E660は2018年作品です。ネズミ男爵の愛称がありますよね。

4車種。別角度。
4511改ですが、側窓を2x2パネルから飛行機窓に変えることで、新幹線らしい雰囲気に近づけています。当時なりの努力が嬉しい。
台車も軸間伸ばしてリアルにしていますね。ドア表現も注目です。

さらに。2車種。
最新型のMLT-E660はもちろんですが、その前世代のMLT-E550形も現代に通用するデザインなのが伺えましょう。

MLT-E420を改めて。
何処かのJRにありそうな電車です。高運転台。前面の黒い部分は貫通扉でしょうか? 国鉄からJRの特急顔の文脈を正しく引き継いでる感じですね。
側面は連続窓で近代感を。青に黄色と白の帯もビビットで似合ってます。
あと5幅に絞り込んだスカートが良い造形ですね。

MLT-E520。近郊型設定でしょうか?
赤と黒と白、この配色はレゴの製品では傑作だった7938のものでもありますし、実物でも歴代成田エクスプレスや、はたまた箱根の登山電車でも見られる王道的なもの。
その文脈で、カーブスロープの滑らかさを取り込む。
大きな窓の、なかなか明朗な感じの電車ですね。

MLT-E550
MLT-E660ネズミ男爵の先駆者となる、偉大なる野心作。
ラウンド+スラントのフォルムは滑らかに美しく。ブラックフェイスの裾部分の丸み処理も巧いのです。適度に裾を下げているので、ノーズの低い今風の(但し1980-90年代の)顔になっているではないですか。
丸い灯火類も良いアクセントですね。
アクセントというと、灯火の上のグリルもそうです。そして黄色帯と白帯。
側面は床下機器の処理が綺麗です。ボディマウントですね。
唯一惜しむらくは前面構体と側面構体のつなぎめでしょうか。6幅だと気にならないのですが、ラージスケールはこうした部分の気遣いも求められそうです。とはいえ、9年前の復刻作ですから、今の制作でよいならもっと綺麗になったことでしょう(復刻の難しさでもありますよね)
繰り返しますが、自由形は「鉄道車両をデザインする」という究極の鉄道趣味のあり方です。自由に造形できるレゴって、その手段としても有用なのでありましょう。
嘗ての鉄道模型雑誌(「鉄道模型趣味」「とれいん」)を飾ったHOゲージの自由形作品の如く、Lゲージにおいても自由形文化が再興してほしいなぁと思うのでした。