2016年初頭に東京での展示もあったのですが、それも見逃してしまいました……。
しかし、現在は函館市内「函館市地域交流まちづくりセンター」で常設展示されています。
公式→
http://hakomachi.com/
どんなところかと申せば、「金森赤レンガ倉庫」すなわち、カネモリブリックラボの至近です。電車なら十字街電停すぐそば。一緒に訪問することができるのですね。
(一般的な函館の観光名所も、この周辺に集まってます)
製作者のすぐ近く、良いところに落ち着いたのではないでしょうか?

先ずは、北海道新幹線H6系から。
造形とボリュームから、第一印象が10幅? とさえ思わせたモデルですが、8幅に収まっているのがわかりましょう。
前頭部造形はいわゆる、積分系。8幅だと違和感はありません。この方向も十分にあり! なのですね。ポッチや段差を出した、如何にもブロックでの造形という感じは見直されるべき価値でありましょう。
で、よく見ると半ポッチ単位の微妙な調整も行っています。最先端が4幅、5幅6幅と膨らみ5幅に絞られ(!)、6幅に戻って8幅車体につながる……という造形なのです。
実物、複雑な造形ですものね。
なお、使うべきところはカーブスロープやタイルを使ってメリハリつけてますね。

側面より。スケールモデル感も十分に感じられるものです。
やはり、絞込の造形美が凄い。省略しちゃいそうなのに、再現してる。
かたおか様は決してトレインビルダーはないのに、さらっと(?)あの難易度弩級のH6系をここまで再現されてしまってるのは改めて驚かされるのです。この凄さ、至近距離じゃないとわからないのですよ。
無論。この作品は純粋なディスプレイモデルです。走行は完全に無配慮。それ故の詰まった連結面間やら、完璧な床下スカート。
ただ、可動スカート(というかスカートの台車マウント)などで走行可能なモデルになれそうな気もするのですね。その機会、あればいいなぁと……。

架線や高架の出来も注目です。
どちらもボリューミーに、日本の新線区間で見られる近代的情景を再現しきっています。ディスプレイモデルだと、特にインフラって大事ですよね。

軌道はスラブ軌道っぽい表現が目に入ります。Φ1プレートに依るレールの締結部と、Φ2タイルに依るスラブマットの固定部。この表現、物量が許されるのならば真似してみたいですよ。新幹線の軌道に対するコダワリが嬉しいのです。
なお、全長48ポッチ長の4両編成が2本です。長さは、力!

さて。
影に隠れてこれまでまったく気が付かなったのですが。
函館市電もひっそりと。しかし、正確に。500形501号か、710形711号を再現したものでしょうか? 1985年ころ、函館市電初の「軽快電車」として登場したものです(旧型車の更新改造で、改造は国鉄五稜郭工場という異例)。ただ、501号は長く定期運用には入らず、711号は2012年に廃車済ですが……。この形状の電車に現役が居りません。

でも、函館に新風を吹き込んだあの電車が再現されているのは嬉しいことです。真四角な車体と、ライムに白のツートンカラー。
(余談、「ハイカラ號」は検討されたものの、難しそうと断念されたとか?)

同じく、新幹線の高架の影で見にくいけど、しかして堂々たるハリストス正教会(勿体無い!)。
さて。
他の函館の市内建築作品に共通しますが、かたおか様の解釈は写実的「建築模型」ではなくて、フィーリングをうまく要約したイラスト的・ディフォルメ作品なのです。これって実はものすごくセンスが必要!
スケールどおりに造ると、よほどの大スケール・大規模でない限り、上下方向のボリュームに寂しいものになりがち。でも、上下方向はそのままに、左右方向(平面方向)は割愛・圧縮するモデリングを行えば、上手く「要約」ができます。ボリューム感・存在感を損なわずに。
そして、面積も決まってるジオラマ内に綺麗に納まる、と。この辺のセンスはさり気なく鉄道模型のショーティモデルに通じましょうか。
そもそも、「鉄道模型のストラクチャ」と建築の模型は似て非なるものです。前者は左右方向・平面方向への「省略・圧縮」を行ってバランスを取っておりますから。後者は正確なスケールモデルです。
レゴの製品で言うなら、前者はモジュールビルシリーズ(カフェコーナー以来の)。後者はアーキテクチャーの大箱(帝国ホテルなどの)と例えると分かりやすいでしょう。
閑話休題。
かたおか様、ジオラマや鉄道模型レイアウトの
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