この系列は1980年代的なスクウェアデザインの極みでありましたし、決して色褪せないデザインだと思うのです。
いや、四角っぽいスラントフェイス左右非対称……って、都市地下鉄中心に類例する顔は多いのですが、営団…メトロのセンスは細部のパーツやディテールに宿ってる? 長期の鑑賞に耐える、洗練されたものだと。
余談ですが。
昔バイト先への通勤で新玉川線(田園都市線)使ってた頃、東急車だと車内騒音が凄まじく、営団(当時)車だと静かなので、営団車が来るのを楽しみにしてたことも思い出しました。剛性とか静粛性、質も高い電車であったのです。
2003年に08系が導入されていますが純粋に路線延伸・輸送力増強用の増備なので、8000系は未だ廃車を出していません。VVVFへの機器更新を行ってはおり、当面は現状維持? メトロで一番「若かった」半蔵門線も、一番平均車齢の高い路線になりつつあります。

りゅうせん様の作品は、あっといわせる文脈。
通常のトレインビルダーの発想とはちょっと違う。でもそれがいい!
側面はほぼ全てタイル張り。それによってドアの凹みが自然に再現されるばかりではなく、窓も微妙な凹みが生まれる。これがアルミ車体の質感表現につながっています。
一般にアルミ車体は外板が鋼製車やステンレス車に比べて分厚く、その分ソリッドな印象があります(分からないようにしてるデザインも多いのですが)。
その雰囲気がひと目で伝わってくるのです。
工法のメリットがもう一つ。
6000系以降の営団車は「車体裾が長い」のですが(顕著なのは試作車の6001F)、1x8の長タイル貼った車体裾が凄く「らしく」見えるんですね。

ドア数は3つへのアレンジです。全長は32ポッチ(中間車基準)。
独自の工法・表現でありつつすんなり受けいられれるのは基準の遵守も大きいでしょう。鉄道車両は「枠」の中に納まるものですから。
(例外は有りますし、例外的表現を否定するわけではありませんが)
側窓は大きめに高さ3ブロックぶん。対してドア窓は小さく。メリハリの効いた姿です(更新前の姿でもありますね)。帯の位置が低いので落ち着いた印象でもあり、それがまた実車の品の良さにつながってる!
肝心の前面。
8000系はスラントが前照灯部分にまで及んでるのが特徴ですが、それを強調するがごとくストンとした印象が良い。80年代の電車に多い「額縁表現」は皆を悩ませるところですが(205系とか京急2000形、伊豆箱根3000系など)、この作品では潔く割り切っています。それによって前部が鈍重になるのは防いでいるのでしょう?
(但し、別文脈の表現はあり得ると思います)

4連で。このアングルから見ると特にかっこよいのです。
そしてドアや窓の凹みが、電車としての重みを感じさせる。誇張表現ではありますから、良い意味での「イラストレーション・戯画的」作品なのかもしれません。

上から。
同じ寸法のルビー氏やレゴ5udon氏の作品でもいえますけども、1プレート分の張出しが雨樋としてリアルさをもたらすのですよね。
この角度からだと車端部の外幌も見えます。
ステッカーや方向幕などのディテールも強調されている作品ゆえ、外幌表現もバランス良いものです
。
ここまで来て惜しいのは先頭車のクーラー位置でしょうか。もうちょっと前よりと言うか、車体の中心位置が正解です。
ところで、JAMでも大活躍したこの車。
ウチの101系中央線と並べるのを失念しておりました(笑)。いや、1987-1989年に東西線で3編成が暫定使用されたことがあり、中野や西船橋ではJRの電車とも顔を並べてたのですよ。
いや、そんなイレギュラーばかりではなく、東武や東急の電車とも顔合わせさせてみたいものですね。
アイン氏の8500系や、最近出番のない拙作5000系(アオガエルの方)とかと。
そして、肝心の営団・東京メトロの車とも。
地下鉄も最近は作品が充実しつつありますから、JAM等のテーマ的に「地下鉄」が成立したらいいなぁと思うのでした。