個々の作品の見どころは少なくないのに、記事が立て込んでいるがゆえのまとめての紹介になること申し訳ない感じです。
でも、これだけの作品が一同に介した、というインパクトは大きなものでした。
嵐電(京福電鉄)さんの展示は今後も行われる可能性高いですから、今後もお目にかかる機会もあるんじゃないでしょうか?
なお、
拙作のモボ121形はこちら記事参照ください。
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先ずは作品数ナンバーワンの若手、
エース君から。
レトロ電車 モボ21形。
いつものことですが、パーツの制約の中で巧く作られています。
前面や側面の飾りライン。ダブルルーフなど。側窓は2x2パネルでもそれっぽく見えるものです。
また、路面電車らしく見せるための車高下げへの配慮もみられるのは嬉しい。
ダミー車輪は、車輪枠のみを使う方式。見た目と整合性ではメリット多し。
惜しいのは集電装置がダブルルーフの下に付いていることか。ダブルルーフはもっと延長して、集電装置もその上にするとボリューム感も出てきて、ちょっとおデブな印象のある(笑
※)当該車らしさも増しますかも。
※:ぽっちゃりな女の子がゴスロリ着てる印象なんですよ。モボ21形って(笑)。無論ネガティブな意味じゃありませんよ!
モボ101形。
前面の3枚窓は雰囲気をよく出しています。角形の標識灯は1x1プレートを側面使ったほうが良かったかも? バックミラーは良い着眼点です。今の路面電車には必須の装備ですし。屋上機器への配慮も嬉しい。車高への配慮があるため電池boxの上面が見えても居ますが、これもまた屋上機器の一部に見えますので。
側面は幕板の広い、鈍重なモボ101らしさがあります。
モボ611形。
横組の前面! 前面の緑色部分も鮮烈です。
角形の標識灯はヘッドライトの裏面角穴を使っているのですね。
なお、エース君作品は全車
全長28ポッチです。
嵐電は全長15mと一般的的な路面電車より少し車両が長めなので(例えば、20mを32ポッチで作るスケールなら、嵐電は24ポッチがスケール通りになります)
、これらの作品はフルスケールってことになるのかもしれません。ただ、模型的には2-4ポッチ全長を詰めて24-26ポッチ全長にしたほうが締まって見えるかもしれません。
(好みの問題はあります)
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お次は、
エース君パパ様。 あの「嵐山駅」を制作されて、このリアルなモデルを制作されるとは……。凄い勢いです。制作されたのは2両。2001形の2001号・2002号です。
2002号。妥協の隙のない超絶精密!
モボ611に始まる額縁顔は横組駆使。しかし、窓部分のみは順組。寸法の辻褄は合っているものの、一瞬「?」と思うような組み方。そのリアルさ。
側面は僅かに凹ませた側ドア・乗務員扉に気合を感じます。内部構造は割とアバウトで良い(笑)9vではなくて、内部には自動運転の基盤が入ってるんですよ!
同じ意味で、窓柱がタイルで表現された妥協なき側窓表現にも驚かされます。ここも縦横のベクトルが交雑しておりますので。代償としては窓高さを5プレート分にしなければならないため、窓自体が小さい印象になってしまったことですが。二段の電車窓の表現はやはり難しいものです。
屋上機器もまた精密。クリップで抑えているパンタ台は「やり過ぎ?」に思えるほど
。8幅精細モデル(1103.S.P.A様の札幌市電等)
の文脈を持ってきてますね。
足回りへの配慮も特徴。
腰を低く見せる意味では究極といえる、
L形パネルの逆組です。設計当初ではダミー車輪ではなく、前後車輪もフルサイズ使ってパネルの範囲内の可動で対応させる予定だったそうですが、カーブでの車輪の遷動は想定外に大きなものでそこは妥協されたとのこと。それでも、現状のベストといえる表現でしょう。台車枠の配慮があるのも嬉しいところです。テクニックアームはそれっぽく見えるものですね。
2001号。
前面と、屋上機器の様子が更にはっきりと分かりましょう。
よく見ると、車体に屋根上、
ポッチが全く見えないことに気が付かされます。
なお自作シールのナンバーは要点を抑えた好ましい使い方です。独自の書体(阪神書体)もよく表現出来ていますし。
連結器はボールジョイント。これは失敗で、ボールジョイントカプラー雄雌の連結だと鉄道車両はカーブ曲がれません。関節が1個だとダメで、もう一つ関節入れる必要があります。テクニックアームのドローバーが理想的と思われます。
行き交う2001と2002。
ショッキングな画像で恐縮です。事故でばらばらになった画像ですが、構造を伝えるのに便利なものでは有りますので。
車体の下半分は完全に上下逆転の組み方。前面内部はクリップ多用であることもわかります。当該車は復旧された模様。今後の活躍も期待されますね。
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お次は、
碧月様。 独自の文脈を持ち込まれ、新風を吹き込んでいますね。
その流れでの、
モボ101形。パト電。 前面表現。曲線の塗り分けの表現が秀逸! 上下逆転させてカーブスロープとポチスロを組み合わせる。隙間はあるはずなのですが、パト電の白黒ツートンゆえに全くわからないレベル。新パーツがいつの間にか生まれてたの? というと大げさですが。
3つ並んだ丸も可愛らしい。標識灯は横倒しヘッドライト部品の上面ポッチですが、これも雰囲気が出てくるものです。
屋上機器も適度なボリューム、適度な解像度でバランス良い感じ。
全長は
24ポッチ。床面高下げるための策は「大胆!」とも言えるものですが、パト電のカラーリングの故に、全く気になりません。とはいえ、タイルやパネルなどで武装されたら鬼に金棒?
側窓は同型車体のエース君パパ様とは対極的に、大きさを意識した表現です。明瞭な感じもするのでこれも有りですね。
カラフルなカラーリングも力の入ってる部分! 実物もこの作品も、パト電のカラーリングは秀逸。無論、これに目をつけるセンスも。
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トリは
薬師山様。 以前も
嵐電作品を作られていましたが、今回は完全に別物です。解像度とか全然違いますね……。
モボ611形の
京紫仕様。 賛否の割れる?新塗装ではありますけど、実物を見ると意外とモボ611形以降には似合っていたりします。この作品でも
沿線風景と以外な調和を見せているのが分かりましょう。同じく薬師山様制作のミニキットでも京柴は一番人気だったそうですし。
それにしても「ミディアムラベンダー」で電車を造ってしまうとは! FriendsやElvesで供給増えてきてるとはいえ、電車を或るクオリティで作ろうとするとそれなりにパーツ集めは苦労されるはずなのですが。
でも、電車の造形に妥協は見られません。
薬師山様の「バランス感覚」に
「ディフォルメセンス」で、嵐電の標準車が無理なくモデル化されてる。全長も24ポッチで、世界観に合致してるように見えるのです。
側窓はシンプルな表現ながら、電車窓としてベターな表現の一つ。叡電でも或いは阪神でもそうですが、ブロックのシンプルな表現と武庫川車両製の電車の相性って抜群じゃないでしょうか?
ドアは割りきっていますが、沓摺があると違いますね。窓部分横組にすると大化けしそうです。
前面は、無理なく、横組で。いや3幅分の横組は微妙に難度高いですが。
センターピラーは割愛されていますが、クリアのプレートを灰色にするだけで表現できそうにも見えますが如何でしょうか?
前面裾の警戒色部分は白のレール付プレートで。抑えた表現が上品です。
またスカート部分の処理も立体感があって、好ましい。
車高下げは側面下部をタイル張りにすることで実現。綺麗にツライチになっています。台車枠の表現こそありませんが、
ダミー車輪に小径車輪を使う配慮で、ボギー車としての外見に無理がありません。
この流儀で、京柴のモボ101などへの展開もあり得ますね。
或いはモボ611の緑+ベージュ塗装も拝見したいような……。
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以上、皆様の作品を紹介いたしました。
嵐電は全車種作られたようで(ほぼ同型のモボ101/301や、モボ611/621/631は除くとして)、未だ
モボ501という「個性派」が残っていたりしますよね。
無論、別の方の別解釈というのも拝見したいところです。
あとは連結運転への対応か。
実はモボ2001形以外は
全形式で混結が可能(モボ111やモボ121の世代も含めて)なので、編成バリエーション展開というお楽しみが今後に残されてるわけです。
「京いんふら」の充実も含め、今後のポテンシャルもまた大きいと!