二軸貨車を電装して運転台を設けたような車両。小さな車体に荷物を載せ、更には貨車も(時に客車も)牽いて走ってしまう。
1970年ころまでの地方私鉄にはこんな車両が当たり前の様に居ましたし、中には電動貨車が主力の鉄道もあったほど(秋田中央交通)。無論大手私鉄でも東急・名鉄・山陽・近鉄に文字通り、ゴロゴロ……。
そして、1980年代でも維持してるところはありました(静鉄・豊鉄など)。
こんな電動貨車。過去の存在か?
実は福井鉄道では健在だったりします(除雪用ですが)。
なお、電動貨車と荷物電車と電気機関車の垣根なんて極めていい加減なもの。
現役唯一の福井鉄道デキ10形も電気機関車の扱いではあります。電機を改造した電動貨車や、その逆なんて事例は幾らでも有り。中には客電のママの姿なのに便宜上電動貨車にした事例まであったり。
国鉄に類例車があるのかというと殆ど無く、私鉄買収車(宮城・阪和)にあったのみ。
ただ、荷物電車クモニ13が貨車牽いてた事例(飯田線)や、牽引車クモヤ90(この種の事業用車も私鉄なら「電動貨車」の仕事)が客車の回送入換してた長野地区の事例もあります。やはり「便利」だったのでしょう。
あと、気動車ですが、JR西日本キヤ143も電動貨車的な気動車なのかも?
閑話休題。日本以外。インタアーバンの先輩、アメリカはそれこそ本場。
瑞西の電気鉄道では国私鉄とも電車が客貨車牽くのが当たり前なので電動貨車に該当する車両は数多……。

g@ひたひた様の試案は、「ミニマムなPF動力車」を志向して生まれたもの。
全長は16ポッチ。昔の4.5vの動力車並のサイズですが、この大きさでも違和感なく収まるのは「有蓋」で箱型であるメリット。
特定なプロトタイプは……意図的に外されていますね(笑)。如いて言えばアルモデルの「とても簡単な」シリーズのエッチングキット的な雰囲気でしょうか。形状がシンプルな箱型切妻なのも、手抜きではなく寧ろ「狙った?」感じがするのは気のせいではありますまい?
ヘッドライトは「おへそライト」ですが、このおかげで日本形というよりはちょっぴり欧州的な味? いやガチで欧州アレンジするなら下部に大型前照灯2つかしら。
ベースモデルではありますから、もし実制作をするのならば「アレンジ」が楽しめそう。切妻ではなく角度(3面折妻)つけたり、屋根を車屋根にして少しはスマートに見せたり。色は黒か、派手なツートンカラー系か? ライト位置も印象変えますし尾灯や標識板の類も遊んでみたくなるってもの。欧米型にも化けうるのは言うまでもありません。
櫓に載ったパンタ周りも注目。小さいけど、精細な印象ですから。ポールやピューゲルへのアレンジもあり……。

内部構造。
ギリギリに電池boxと受光ユニットが収まっています。
いや、実は微妙に余裕あってケーブルの取り回しが考慮されてる由。ここを無茶するともう1ポッチ詰められますが「上級者向け」ですね(笑)。
全体にシンプルな、何方でも挑戦出来うるモデル。。
ただ、その意味だと「4070 ヘッドライト」を多用する側面だけはコスト的難度が高いかも? ここはシンプルかつ見栄えのする表現が考えられても良いかもしれません。
実は、電動貨車はマニアックに見えて、その実初心者向け?な題材でもあるのです。
小さな機関車として、貨車牽かせて良し。貨車はクラシックな黒貨車が似合うのは当然ですが、1970年代の電動貨車の現役末期の頃イメージするとタキやホキもあり。また、何かの間違いで現在も貨物用に生き残ってる設定にしちゃうならコキ牽いたって、多分似合っちゃう。何でもあり。
また、秋田中央交通を気取って、客車を牽かせたって良い。
客車が欧州系なら瑞西の小私鉄でも通じてしまうでしょう。
ですので、「唯一の動力車」「初の自作」にも向いてるのですね。何より小さいので骨も折れません。
#60051・#60052などのトレインセットを入手して、最初の「自分で造った電車」に如何でしょう? 貨物列車のセットならセットの貨車牽かせたっていいのですから。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
さて、ここからは悪ふざけ?的アレンジ。

重量貨物列車牽引を想定し前後にブースターをつけた、という設定だそうですが、なんですか! この余りに確信犯な(愉快犯的意味の!)クロコダイルは。
瑞西の本場の関節凸型電機(所謂「クロコダイル」)は足回りが連接になっていたりしますが、中国で鉱山用に使われてる類例機は足回りは各車独立なのでその意味で違和感は皆無。
というより、実物としてこんな機関車があったら合理的?
貨物の少ない時は電動貨車単機で、貨物の多い時はブースタ連結。模型としての楽しさは言うまでもありません。
なお、各ブースタの連結面はもう少し延長して中央車体(電動貨車)にギリギリの隙間にしたほうが良いかも、ですね。

ブースタとしては……これも、あり?
三井三池の凸型電機はブースタではないものの、蓄電池台車を連結することがあり(確か現役のはず)、こんな雰囲気になります。
また東急の電動貨車デト3014+デト3015は、その末期は2両連結にされ、3014は運転台を撤去して平たいブースタ風にされてた由(1970年廃車)。その姿でもって元住吉で銀色の電車の入換してたんですね。
やはり「電動貨車」な世界は何でもありなのでした(笑)。
知識とアレンジとセンス、楽しんでみませんか。