同氏には、既に3300形及び、A1200形の作品があります。
【作品紹介】札幌市電3300形。ひとつの究極。
http://legotrain.seesaa.net/article/418810246.html
【作品紹介】札幌市交通局A1200形。8幅の表現力!
http://legotrain.seesaa.net/article/383754350.html
【作品紹介】札幌市電A1200形、続報。「世界観も含めて」。
http://legotrain.seesaa.net/article/384433483.html

第一印象としては、同じ8幅リアル追求型にしても、A1200→3300→今度の8500形とだんだんクオリティを上げ続けていないか……ということ。
8幅でフルスケールですので元からリアルさでは際立つものですが、作品のたびに解像度が上がっていく感じ、と。
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札幌市交通局8500形は1985年に投入された、20年ぶりの新車。
あの時代ならではのエッジの立った、角ばったフォルム。丸っこい電車だらけだった札幌市電ではとても斬新に見えたもの。
新型ではありましたが、今の目で見るとライトや方向幕の上の出っ張りなど、凹凸の多さは貫禄を感じさせる部分でしょうか。エッジの立ったスタイルそのものが今の目で見ると古くも見えます。
しかし、この電車の投入以降、札幌市電は確実に現代に連なる姿に変わっていったのでした。過去との決別、そして新たな発展への道。
8500形は2両のみですが、詳細を改良した8510・8520形が2両づつ、合計6両です。

やはり目を引くのは7幅に絞られた前頭部。ここは先の3300形と同じなのですが、8500形のほうが左右に斜め形状(台形)の窓も入る複雑な形状です。その上窓は少し傾斜してる。
傾斜は思い切って省略。これで違和感なし。斜め窓はガラス割愛ですが、これも気になりません。
それよりも、角度やパーツのエッヂでレゴらしからぬ質感を得ています。
もっと大きな、精密な模型に見える。この基本ラインがブレていません。
なお、苦心されたのはヘッドライト横の1x2タイルの貼り付けだとか。
側窓は1x4のトランスブラックのチューブ無しブロックで表現。その上下に1x4の黒プレートを入れ、真ん中の窓桟は1x4タイルです。お陰で上方のブロック内にポッチが見えず、不思議な窓表現に。お仕着せの窓パーツはこの世界観にはもはや無用!
(無論、他スケールにも応用の効く手法でもありましょう!)
台車は3300形もそうでしたが標準の台車枠。8幅の大きめな電車に履かせるとちょうど路面電車用の小さな台車に見えるのが面白いのです。車輪と台車こそがスケール通り?
またナロー感も8幅のメリットではあるんですよね。特に札幌市電は1067mmの狭軌ですし。

上から見ると、いつもの精細さが分かります。機器函(冷房装置に非ず)に、大きめの換気箱、複雑なパンタ周りの配管。

裏面より。今のところ?ディスプレイモデル。台車は通常寸法ですからそのままトレインモータ差し替えで自走は可能でしょうか。
この角度から見ると、いつものレゴであることがわかり、ちょっとほっとします(笑)。

公式な「並び写真」ではありませんが……。
A1200形・3300形・そして8500形。3形式3両が並んでみると、8幅フルスケール路面電車※という世界が確立していることが伺い知れます。
※:蛇足。路面電車で8幅というと、本線鉄道は10幅……!? という気の遠い話になりそうなのですが、幸いにも札幌市電は本線鉄道への接続はないのでした。世界観がうまく分断されてる。つまり、独自スケールを採用しやすいということにも。
福井鉄道、或いは昔の名鉄岐阜地区はそうは行かないんですよね(苦笑)。
8幅には異スケール、少数派というデメリットが有りはすのですが、或る程度車両数を揃え世界を作ることで、そのデメリットは覆しうる。精細さやリアル、迫力というメリットはそのままに。
(この際、コストや場所は忘れましょう(笑))
現状で既に、複線の電停に電車が溜まっているラッシュアワーの情景さえ再現できてしまう意義、大きい。
この先、更に幾つかの形式が予定にあるようです……。世界はより一層強固になり、魅力を高めていくことでしょう。楽しみにしております。
そして、それは他スケールへも良い効果を与えることでしょう。盗めるものは盗め! ですよ。