1968年の大型車への統一後、1990年代後半にステンレス車が入るまでの阪神電車は特急・急行用の「赤胴車」と普通用の「青胴車」に統一されていました。「阪神電車」に対してその頃のイメージを持つ向きは少なくないんじゃないでしょうか?
統一感という意味ではライバル阪急以上でした。
(阪急は今も昔も物持ちがよく、1980年代までそれなりに旧型車抱えこんでました)
しかし、現在赤胴車はほぼすべて引退(もと赤胴はあり)。
青胴車も具体的な引退計画が固まったよう。一つの時代は終わっていくのでしょうか。
赤胴車のルーツは1958年の3301/3401形から。
青胴車(ジェットカー)は1959年の5101形から始まっています。無論その頃の車は疾うの昔に引退しており、赤胴を赤胴で、青胴を青胴で置き換えた由。
そのため、細かく見るとバリエーションは非常に豊富。車体だけに絞っても窓配置窓形状、車体裾形状。赤胴車に関してはドアの片開き両開き……。
それでも殆どの車がエアサス装備。柔らか目の関西使用のシート。そして1985年までに全車冷房完備。ライバルに負けぬ、高品質な電車でもあったのでした。
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薬師山様の作品は……特定の形式を意識はされていないようです。1980年代の平均的な阪神電車のイメージ……という感じでしょうか。無論冷房化済の姿です。
一応、「赤胴」は片開き扉で前面折妻なので1960年代製造の3601形辺りか? 「青胴」は1970年代末製造の第二世代車?
無論、巧くイメージを掴まれています。悪い意味でのアレンジというか大雑把さとは無縁であり、「阪神電車!」としか評しようのない。特定形式・特定番号車……というモデリングも良いのですが、こういう最大公約数的モデリングもこの世界では肯定されるべきものでしょう。
3面折妻は以前の試作品のままですがやはり特徴を抑える。
幌は省略されているのですが、微妙な凹みのお陰で阪神の特徴だった埋込幌っぽさが。
なお、標識灯(尾灯)は阪神は伝統的に角型ですが、そこは「丸」に割り切っています。しかし、他が極まってるので「あ、そういえば角型だったなぁ」という感じに(笑)。実際角型標識灯の適切な表現は難しいですよね。1x1プレート挟めばなんとかなるもんじゃない……。
赤胴青胴ともに2+1の解結編成に。理由は中間車の窓割が巧く出来なかったから……だそうですが(笑)、先頭車の比率が多いほうが如何にも「あの時代」の電車らしい。
(特急の6連には「2+1+2+1」まで存在したそうな……)
なお、中間運転台は切妻形状にダウングレードされていますが、これは却って別形式混成してるような楽しさに繋がっています。赤胴青胴ともコストダウンの切妻車は存在しましたので。これを思い切って先頭に出しても面白そうです。
なお、白い車番が目立ってるのも見落とせないポイント。どちらかというとプレーンな形状の阪神電車には必要なアクセントでしょう。
クーラーは国鉄のAU13と同型なのですが(これは私鉄電車としては極めて珍しい!)、ここはシンプルな形状に割り切られています。全体の雰囲気にリアルなAU13載せて似合うかというと違う。それよりは小さなクーラーを沢山載せた方が阪神の特異性が出てきます。
カーブを行き交う。阪神のイメージ通りの光景。
山陽電車との並走。乗り入れ先で仲良く。
ライバル阪急とすれ違う。あちらは旧型車。こんな併走区間が無かったのは残念。
良き後輩。1000系と。
「神戸風の街なみ」にて。阪神にはこの種のアーチ屋根は無かったはずなのに違和感仕事しろ(笑)。
青胴車に「ジャパンブリックフェスト」の副標識付き。良い演出です。
両開きのリズム感もまた良いものですね。「赤胴」「青胴」。好みはどちら?
……どちらにしても「バランス美人」。実物がそうであったように。やはり小気味良いモデル!