さて。
1980年代に流行ったジョイフルトレインと、昨今流行の「観光列車」の大きな違いですが、前者は原則団体への貸切を前提としたもので、後者は個人客を対象にしていること。
(前者でも一般臨時列車充当は多く、個人でも参加できる旅行会社ツアーへの充当もあります。一方後者も「貸切」をサブ用途に据えてることもありますがこのへんは言い出すときりないので略)
一般個人客を対象にした観光列車は、「走るテーマパーク」的性格を帯びたりもします。
その意味でのテーマパーク的「観光列車」。そして更に最近の傾向である「プレミアム化」の元祖といえるのが251系「スーパービュー踊り子」ではなかったでしょうか?
当時の鉄道趣味誌の記事では、デザインやサービスのコンセプトをかっちり立てた企画であったことが強調されていたことも思い出されるのです
短距離なのに強気のA特急料金も今からみれば「プレミアム化」でした。
当時は私鉄特急でも「新車も料金はおんなじ」というのが普通でしたから(特別席のある列車……アーバンやRSE、スペーシアでも一般席は在来車と同じ料金だったのです)。まぁこればかりは良し悪しはわかれる話ですが。
251系はバブルカーとかも言われ、デビウ20年も経た一時期は時代遅れの印象もありました。
ですが、コンセプトは今に通用するものなのでしょう。大胆なエクステリアはなおも刺激的です。
(まぁ、通勤ライナーにも使われちゃったりしてますけど)
実物について:座席探訪(インテリアの写真豊富)
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窓の大きさが印象的。ダブルデッカーではなくハイデッカーである分、車内にもゆとりがあるはず。或る意味「上座」かしら?
交差式パンタはミニマムな大きさに纏まっています。ルックスも極上! 擦り板周りが凄くリアル。
床下機器は「浮いてる」ように見える機器箱が不思議な感じ。でも、今時の電車らしさが顕れていましょう。はやりの? 新濃灰です。台車が黒に縛られるからって床下機器も真っ黒っていうのも芸の無い話で。
なお、この車が「動力車」にもなっています。9Vかとおもいきや、なんとPowerFunction。でも機器は全く見えません。こんなに窓の大きな車なのに!

ハイデッカーの中に電池を隠しています。車端部の窓なし部分には受光ユニット。PFの可能性を広げていましょう。
赤いシートはフィクションですが、緑・青の車体には暖色系のシートの方がしっくり来ますよね。
実車はデビウ当時は4人ボックス半個室でしたが、あれは黒歴史か? 車体の開放感の割に窮屈な印象はありました。今は普通の座席ですが。でも(半個室ではない)ボックス席も欲しかったような気がします。

グリーン車とはちょっと窓割、雰囲気が異なります。1階部分で非常口の窓表現変えてるのは芸が細かいですよね。
ポチスロというのは、角ばってるようで丸みが出せる。
斜めや丸みに対して、ディジタルな表現はまだまだ「使える」。そんなことを示してくれてもいます。というか、不可能がひとつ可能になった! という意味では先の500系新幹線に匹敵する作品でもありましょう。

ここの表現が「圧巻」。縦横にタイルの組を駆使。

他写真はこちらより:brickshelf
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正直なところ、251系は余り好きな電車ではありませんでした。
個人的にはボリューミーなデザインよりはスマートな方が、モダニズムよりゴチック※が好みですから、ちょっと趣味から外れてた。
※:いわゆる水戸岡デザインは「ゴチック」です。
あと乗る分には「プレミアム感」も鼻についてなんかちょっと敬遠したいムード。それよりは普通電車の二階サロ+熱海からR21の方がお得じゃんと。
でも、この作品で見なおした気分です。あ、こんなにかっこよかったんだ! と。
コンセプト性のある車内は今の「観光列車」と変わらず。過度に装飾がないシンプルさや、バブル期ならではの上質感も持ち味でしょうね。というか、1990年代前半も早くもレトロの対象になりつつありますか……。
デビウから20年位経った251系。先に引退するのは(おそらく)185系でしょうからまだ安泰だとは思いますが、乗れるうちに乗っておきたいと思ったのでした(……小田原発新宿行ライナーで)。
ちょっと後悔しそうです。