(偶然ってわけではなく、テンテの話を聞き、こちらの古いダイヤカタログを思い出したって流れですが)
先方の記事はこちら:「ガソリンスタンドセット テンテ ブロック玩具」
(引用してない画像も多いので、先方も見てください!)
商品名称は「TC-210 ガソリンスタンドセット」。テンテのラインナップでは数少ないはずの「建物」。
おそらく1979年ころの品でしょう。レゴでは「街シリーズ」が一世を風靡してたころ。
レゴの方のマニアならこの造形を見て、1960-70年代半ばくらいのレゴっぽさを感じられことでしょう。とはいえ、幾つもあったシェルスタンドで合致する品はなく(参考リンク)、ここはテンテのオリジナルティ。
レゴっぽさを感じさせる要因は窓やドアのデザイン?
(画像はbricklinkより)
大昔のレゴの窓とドア。幾つかのマイナーバージョンはありますが、1950年代にレゴが今のような形になった頃からのデザイン。ドアの方は1972年ころまで。窓の方は21世紀になっても一部で使われていた部品でした。
というわけで、1970年代の部品を使って、1980年代的な造形を目指してみたという見方もできます。
しかし、このセットの造形が1970年代のレゴだけでは出来ないのも事実。
事務所部分の裾を見てください! なんと「グリルブロック」という、本家では1980年代末になって登場した部品がすでに使われています。
同じく、屋根のタイルも。2x2タイルではあるのですが、リアルなタイル貼り感を出すためのエンボスが印象的。ちなみに手前のローリーのキャブ屋根もタイルですが、車用のタイルと建物用タイルは区別されてるのです(後述)。
地面は緑色(割と渋目の緑。レゴならノーマル緑と濃緑の中間位の色)で、これも当時のレゴには無かったものでした(基礎板こそ緑でしたが)。
グリルの入った、黄色のΦ1円筒も気になる部品。
先方より引用。
ABS樹脂製のプラスチックブロック。スタッドの形状はレゴと全く異なり、互換性は皆無です。
60種もの部品に、あざやか11色。
丸い穴の中に、ブロック裏のピンを挿し込む形で、はめ込みます。
抜き差しはとても良い感じです。
『毎日、最低60年遊んでも色、精度、丈夫さともに、買った時と変りません。』との事。
今と違って未だレゴのポッチに無体財産権が有効だった時代ゆえ、すでに無秩序な互換ブロック(※)が作れない時代ではありました。
しかし、それがある種の志の高さに繋がったのも事実でしょう。
※:ある程度の企業の製品では、「任天堂 N&Bブロック」「アサヒ玩具 ワンダーブロック」。前者はかなり知られていますが、後者は未だ闇の中……。他にも有象無象がいっぱい。
まぁアジア系無秩序な流れではレゴ互換品の流れって全く止まってないのですが(散発的に輸入されるケースも散見)。
テンテの質感は自分の記憶では、レゴと変わらなかったと思います。
欠けたり割れたり、磨り減ったりもありませんでした。
(ダイヤはよく割れた記憶があります。レゴ互換のアサヒ玩具ワンダーブロックはやたら減りや変色が早かった記憶が)
モボ様の所有される、製品現物。
(先に断っておけば、「仮組」とのことで、ポッチはあえてゆるめに嵌められたとのこと。結合性は正確とのことです)
色は新品のレゴ同様の鮮やかさです。ただ、シェルのコーポレートカラーの解釈がレゴの同時代の製品(#377他)とはことなるのは興味深いですね。レゴではもっと黄色を押してますから。
シェルの看板はシールではなく、プリント。
複数ブロックにまたがる場合でもプリント使うのがテンテの流儀。
この製品にはないようですが、組み換え作品用の別プリントが裏面にもなされたパーツさえ有りました。
1970年代的部品を使いつつ、この製品が1980年代的と言えるのはこの修理工場部分のインテリアに尽きましょう。ジョッキ・タイヤ・交換オイル。右の大きなシェルマークもプリント。
レゴは1978年の「街シリーズ」で、建物がインテリアを得ました。時期的にもその過渡期を感じさせるものです。というか、レゴやダイヤで子供なりに建物内作って遊んでいたんですよ。それとの共通性?
付属のタンクローリー。これも1970年代のレゴの4幅車(所謂「レゴランド」シリーズ)と類例する造形です。「街シリーズ」から登場したフェンダーパーツは未だ使われていません。
それでもレゴを凌駕するのはピラーの入ったフロントキャノピー。凄く精密感のある部品です。
また、キャブ上のタイル仕上げも注目。1970年代(「レゴランド」及び「街シリーズ」初期)、レゴではタイルパーツはほとんど使われていなかったのに、テンテはどかんと大量投下してきたのです。
で、このタイルパーツ、一端が丸く面取りしてあります。
これでは建物などに使えない? だからこそ建物用の2x2 エンボス入のタイルがあるのでした。
但し、当時のレゴでも当然だった45度のスロープパーツが使われていないのは気になります。テンテにはスロープが存在してなかった可能性は有りましょう。
制限の中で、最大限に好ましい造形はしています。
1970年代の「レゴランド」に慣れたユーザには、納得もできる構成なのでした。車も、建物も。
<次回お楽しみの紙モノ資料。「機能説明書篇」に続きます>