また、茶色い電車です。
念のため、試作からは2晩あけてます(笑)。
1000系列の試作は以前920試作品と一緒にお見せしたときは「側面のテストのみ。特徴的な即窓まわりと、屋根のルーバーが再現できるか?」の検証止まりでしたので、前頭部を含むまともな試作(量産前提)はこれが初めて。
まず、実物について軽く。阪急1000系列(初代)は、1954年から製造されたもの(wikipedia)。
阪急初の高性能車で、車体はモノコック構造で軽量化したものでありました……。
が、ウインドシルの残る外形であったり、一灯式のヘッドライトであったり。片開きのドア。何処か古さが抜け切らない印象が強い。それを阪急の伝統といってしまうには、昭和30年代は進歩は早すぎだったのです。
多くの系列、バリーエーションを擁したものの製造は1961年には終了。車体もメカもあまりに革新的だった2000以降の新系列に移行していきます。
但し、重厚な旧型車からいきなり革新的な2000系列にジャンプ出来るわけがありません。
過渡期の存在として、1000系列は必要なものだったといえましょう。
廃車は阪急にしては早く、1989年までに全廃されています。
個人的な印象としては。
幼い頃は旧型車(920や810等)と殆ど区別できない、凄く古く見える電車。
然し、それはネガティブな意味ではなく、旧型車同様に「大好き」! 乗れれば「当たり」でした。
一部は不似合いな冷房改造までされていましたから(不似合いも魅力)、もっともっと長生きして欲しかった。阪急が2000系以降で統一されてしまったのは、凄くつまらなく思えたものです。
(今は9000系列、新1000系列という明らかな異分子がいるので、楽しさが戻ってきた?)
◆◇◆◇◆◇◆ ◆◇◆◇◆◇◆
制作は1000系列の量産形・神戸線用の1010形で、2ドア時代をモチーフに。2ドアでも残念ながら?ロングシート(1971年頃までに3ドア化)。M-T-Mの3両編成が目標。
ウインドシル調にでっぱった特徴的な側窓廻りは、ダークブラウンのプレート挟むことで表現。
窓は2x2新型窓茶色を並べた、素直な作り方。横組とかで無茶するのも楽しいのですが、こうやって既存パーツがぴったり嵌るのも気持ち良いもの。
特徴的な屋根肩グリルは、幕板部分をL形パネルで作ることで再現できています。
なお、写真の台車は「仮」です。できりゃエアサス台車編成(1018-1056-1019?)に。
前面は先の2800と同じ作りで3面折妻。最初は「楽勝!」だと思ってました。
ですが、どうやっても違和感が抜けない。妙に近代的に且つ幅広に見えてしまう。
2x2窓を「裏返し」にして、窓枠を太く見せたらあらびっくり。1000系列っぽい顔になりました。
その他は9300系の時と違い、あまり迷いも悩みもなくあっさり形になりました。
古い電車のほうが、やはり性に合ってます……。
大量の2x2窓やらダークブラウンのプレートやら資材はほぼ揃ってるので、900+920と並行して制作進める予定。
2800との並び。1960−80年代ならば日常的に見られた光景。
1000系列と2000系列、生まれた時代は近いのに、その外見的差異はとても大きかったのでした。
◆◇◆◇◆◇◆ ◆◇◆◇◆◇◆
おまけコーナー。3面折妻電車の作り方(ヒンジプレート使わずに済む方法)。
完成しちゃうと、内部構造見せるのがめんどくさくなりますから(笑)。試作のウチに公開。
ちなみに先の阪急2800も同じ内部構造です。というか、阪急電車は1000〜8000初期、あと二代目の1000と全部この方法で前面が出来てしまいそう?
なお、先の9300系(試作品)はまた違うやり方で、あれは後退角が大きい時用です。所謂「半流線型」にもなりましょうか。
ユニット化した前面部分の、車体へのとりつけ。
タン色の1x4ブロックと、右方車体の黄色いジャンパプレートが接続されます。これで半ポッチ分の後退角(後退量)の折妻になります。
「垂直クリップ+バー+垂直クリップ」が基本。バーはパイプを切ったもの等でも代用できるでしょう。クリップは強度面から二箇所づつ使うのがベター。
貫通扉は上から吊り下げる。奥に伸びた1x4タイルと、トランスイエローの1x1プレがつながります。
貫通扉下の桟板や、貫通扉の下枠なども垂直クリップ止め。
左右の窓と貫通扉の間に若干の隙間はできますが、貫通扉や幌枠の場合、隙間の違和感は少ないです。
この、3面折妻+貫通扉付というのは古今東西の多くの私鉄電車、そして国鉄客車(12系・14系以降)が該当するもの。これを極めておくと、日本形車両がぐっと身近になるはず。
無論、他の手法・技法・表現もありえます。さらには後退角が小さい場合は平面に割り切るのだって手法の内……その分すっきり仕上がる可能性もありますから。