前者の「片幌」は国鉄の客車の殆ど。客車は方向転換も多いので、幌が両方に付いてないと繋げないなんてことも起こります。実際に国鉄客車の写真を見れば分かりますが、事業用車などを除けば必ず幌がついてるはず。

後者の「両幌」は国鉄の電車・気動車のほとんど。
電車は機器配置や配線の都合で原則、方向が決まっていますから(転車台でえいや、では済まない)、方向転換はあり得ず、幌は片方の車両に付けておけば大丈夫です。
気動車は原則的に方向転換自由ですが、何故か電車にならってか片幌です。あと20系固定編成客車も片幌でした(この形式は方向転換不可)。12系と併結する1000/2000番代は両幌に改造されてます。
電車の中間車を切り離した写真では、幌なしで幌枠のみ、なんて姿も見つけられるでしょう。


私鉄は会社によって方針が異なるようです。解結の多い鉄道では両幌(京阪・南海など)、その機会の少ないところ(阪急や多くの関東私鉄)では片幌の印象はありますが。
海外は原則、両幌ですね。幌じゃなくてゴムチューブであったり(西欧各国)、幌が緩衝器も兼ねたゴツイものであるケースもありますが(アメリカや中国や韓国など)、これも両幌が前提です。

さて。レゴの列車はどうでしょう。
製品ベースは例外なく両幌です。欧州やアメリカの列車モチーフなのですから当然ですが。
いっぽう、個人の作品……日本形作品でも、あまり拘られていない印象があります。
実は、国鉄の電車や気動車の作品でも「両幌」で造られてるケースが多いのですね(先輩方の作品含めて)。無論、バッファ付の連結器同様「レゴトレインの記号」として両幌にする作風は有りだと思いますが、連結面間を考えると片幌にできる題材は片幌にしたほうが良いと考えるのです。


どちらがより「リアル」でしょうか?
両幌の場合、玩具と割りきってもちょっと連結面感が開きすぎてる気がします。京阪が両幌であることと、後述する「遊びやすさ」から両幌にしている由ですが……。
片幌であっても、カーブで当たりそうで当たらない、ギリギリの連結面間距離。これでもレゴトレインの急カーブはクリアします。その上で外見・機能とも実物通りというのも気持ち良いですし。幌の向きはわかりやすい連結基準にもなります(意外と間違えるんですよ。自分で造った電車でも)。わずかながら資材節約になっています。
とはいえ、両幌にもメリットはあります。
上の京阪電車ですが、方向変換して編成に変化を付けてみるなんて玩具(模型)ならではの遊びをする際、両幌ならどの先頭車も中間車も組み合わせが自由自在に。片幌ではこの辺は不自由。特に1900形(1810形)は実物も固定編成ではなく、どんなパターンも対応できる方がリアルでもあります。前頭造形自体が幌付き前提ですから、幌なしの先頭車は見られた姿じゃないですしね。
(でも、京阪でもほぼ固定編成の3000形や8000形だと片幌アレンジにしてしまいそうです)

この意味では、特に向きが限定されず、ほぼ全車が運転台付きでどんな編成パターンも対応できたほうが楽しくリアルな国鉄気動車の作品もまた、「両幌アレンジ」でもいいのかもしれません。
ありふれた結論ですが、適材適所ということで。
実物に倣うか、編成中に運転台が多く編成替えも頻繁な気動車や旧型電車は両幌。固定編成的な題材は片幌にすると良いのかなと思う次第です。